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テレビ解説者・木村隆志のヨミトキ 第83回 『細かすぎて』『MONSTER』『王座』…早くも「モノマネ日本一決定戦」が終了 M-1ら他の年末特番と何が違うのか

マイナビニュース / 2024年12月11日 11時0分

つまり音楽特番には2つのピークがあるのだが、後者の12月下旬にはレギュラーバラエティの年末特番が「今年の総決算」として放送されることもあって、モノマネ特番は押しのけられて放送時期が早まっている感は否めない。

○モノマネタレントの未来は明るい

現時点における12月の年末特番を整理しておくと、まずベースになり下旬に放送されているのがレギュラーバラエティの特番。次に今最もコア層(主に13~49歳)の個人視聴率獲得が期待できるため量産されている音楽特番が優先的に編成されている。さらにお笑い賞レースがあり、モノマネ特番はそれらの次というのが現実的なポジションなのだろう。

そんなポジションを踏まえてなお、モノマネというコンテンツの未来は可能性にあふれている。モノマネ特番は少なくてもモノマネタレントはバラエティで笑いを作るパートとして重宝されているほか、カラオケ企画などへの出演も多い。例えば『千鳥の鬼レンチャン』(フジ)で松浦航大や荒牧陽子らは美声を披露するだけでなく、千鳥やかまいたちからイジられることでバラエティタレントとしての幅を広げている。

もちろん営業先での引き合いが多い上に、TikTokやYouTubeなどを収益化していくことも可能。となれば「箔を付ける」という意味で、やはり「日本一決定戦」となるモノマネ特番を適正化してもっと納得感を上げたいところだろう。もし「“『M-1』チャンピオン”のように各局のバラエティに一周できる」くらいのステイタスが加われば、本人はもちろん視聴者もテレビ局も満足できるウィン・ウィン・ウィンの関係性を築けるのではないか。

そのためには「1年かけて作った新ネタをここにぶつける」「『M-1』のような生放送のヒリヒリとした構成・演出で盛り上げる」というくらいの気合いと覚悟が必要なのかもしれない。そのハードルは決して低くないが、モノマネは漫才と並んで昭和時代から令和の現在まで続いてきた歴史ある演芸の1つだけに、それくらいの高望みをしてもいいように見える。

TikTokやYouTubeなどの普及によってモノマネという演芸とモノマネタレントとの接触機会が増え、身近になったことは間違いないところ。そもそも昔も今も学校ではモノマネができるとちょっとした人気者になれるなど、幼いころから親しんできたものと言っていいのではないか。それらの意味で、テレビはモノマネという芸をより生かす方法を、芸能事務所はモノマネタレントを育てる方法をもっと追求してもいいように見える。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら
(木村隆志)



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