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AIがサプライチェーンにもたらす「可視性」と「従業員の新たな価値」(後編)

マイナビニュース / 2024年12月11日 13時16分

「私たちは人を大事にする自社のフルフィルメントサービスに誇りを持っています。また、自社の才能あるスタッフがより豊かでゆとりある暮らしを送れるような施策を常に探しています。ロボティクスとAIを活用することで、フルフィルメントセンターで働く全員によりよい職場環境を提供しながら、倉庫スペースを最適化し、コストの削減とパフォーマンスの向上を達成できています」
テクノロジーの中で従業員が果たす役割

ここまで、AIやロボットなどのテクノロジーがもたらすメリットについて話してきましたが、たとえ物流倉庫でロボットの存在が当たり前になったとしても、サプライチェーンで人間の存在は重要な役割を果たし続けます。その主な理由は、倉庫業務が多様であるためです。

体系化された反復作業をロボットが実行できる自動化された組み立てラインとは異なり、倉庫業務は逆にかなりの柔軟性を必要とします。例えば、最近のEコマースのフルフィルメントセンターでは、注文ごとに品目や数量、包装が異なり、時間によって需要も変化します。こうした複雑性ゆえに、ロボットの導入を成功させるには人間の関与が引き続き必要となります。これは注文のピッキングやエラーへの対処、配送車の管理など、人間がロボットと作業を行う場合にも当てはまります。

AIやロボットなどのテクノロジーが進化を続けるなか、自律型プラットフォームは今後ますます複雑な作業を処理できるようになります。それでも、人間が持つクリエイティビティを用いた問題解決能力にロボットが勝ることは決してありません。AIやロボットの「完全な自律」はありません。ロボットは今後も人と働く協働ロボット(コボット)の範疇(はんちゅう)にとどまるでしょう。

ロボットが規模の大きな役割を担い始めるとき、人間を必要とする新しい仕事がそれに伴って生まれます。ロボットが行う業務を監視し、例外的な状況において介入を行うのは人間だからです。

進化を続ける倉庫業務。現時点で最も重要なのは、テクノロジーと人間それぞれが持つ力の間で適度なバランスを維持することです。テクノロジーは効率を高めますが、分析的思考や適応力を要するデリケートな作業については引き続き人間の介入が必要です。たとえ先進的な自動化が実現されたとしても、人間が持つ判断力と問題解決能力の重要性は失われません。

倉庫業務の効率を最大限に高める上で欠かせないのは、ロボットが持つ正確性と、人間の従業員が持つクリエイティビティの両方が尊重される職場環境づくりだといえます。

○Andrei Danescu、Dexory(デクソリー)CEO兼共同創業者

Dexory(旧BotsAndUs)は英国ロンドンを拠点に、物流倉庫向けの最先端ロボット工学とAlソリューションの開発を行うテクノロジー企業。ダネスクはDexoryの共同創業者で、システム工学と自律技術分野での経験を有するエンジニアでもある。 2004年からロボット開発に携わり、自律型ロボットを世界に広げる機会を探求し続ける。
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