どこでもサイエンス 第297回 “布”なおはなし
マイナビニュース / 2024年12月18日 11時47分
さて、そんな布ですが、最初には繊維として利用しやすい麻が使われていましたが、綿や羊毛、ついで絹も使われていきます。これらを糸に縒り、布に織り上げる必要があります。羊毛などだと糸車を使って、手で紡ぐことも行われますし、綿などもそうですな。また、織るのは、毛糸やレースのように指や編み棒を使った手織りも行われています。が、なんといっても、これらを効率よく行う機械の発明が重要ですな。まあ、すぐみんな面倒になって工夫するような代物でございます。最初は機織り機が発明され、それを動力で動かす織機になります。動力としては蒸気機関からはじまり、エンジン、そして電動モーターなどへと移っていきます。
また、さらに、布の中のパターン~模様も工夫されます。それをオルゴールのようなパターンのカードでプログラミングして織り込むジャカード織機が1801年に発明されると、様々な模様の布が大量に出回るようになり、いわば、ファッションの革命が起きます。
さて、布のベースになる繊維に戻ります。それを自然ではなく合成品に求めるのが化学繊維でございますな。化学繊維としては、絹の代替品としての1884年に発明されたレーヨンが有名です。レーヨンは、木片を水酸化ナトリウムで溶かしたあと、二硫化炭素を加えてドロドロとした液体をつくり、これを酸性の液体の中に注ぎ込むと繊維として再生されるというものです。まあ、高校の化学で習いますな。実験の方法もこちらなどに紹介されています。レーヨンは木片を化学処理でグズグズのバラバラにしたのち、そこから繊維をとりだすので、化学繊維の中でも再生繊維と呼ばれているそうですが、これを織物にしたのが1889年のパリ万博(エッフェル塔が建った万博です)で出展されて、大変な話題になったのだそうです。
ちなみにレーヨンは絹の代用品として作られたため、人造絹糸、「人絹(じんけん)」といいます。カイコから取る絹のことを、対して「正絹(しょうけん)」というのです。着物などで「正絹」と書かれているものを見かけますが、うーむ、正絹なんて表現、昨今は聞いたことがない人も多いかも知れませんな。
レーヨンは木から作った繊維の糸でできた布なわけで、まあ繊維をばらしてまた繊維に戻したようなものですが、繊維ではない石油から合成した糸を作る製品がそのうち現れます。繊維なんて欠けらもないところから完全合成したものといえば、「ナイロン」になりますな。
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