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電通デジタルが“超さわれる美術館”開催 - モナリザと握手できるってホント!?

マイナビニュース / 2024年12月23日 12時45分

徳川家康の陣幕からは「家康様! 戦況は劣勢です」「一体、小早川は何をしておる! 松尾山に大筒を放て!」という荒々しい声が聞こえてきた。どうもプロの声優さんの声のようだ。対する石田三成の陣幕を触ると「三成殿! 島左近殿が負傷しました!」「なんじゃと左近が!」という緊迫感のあるやりとり。背後では馬のいななき、武将の雄叫び、銃弾が飛び交う音が聞こえ、触れた手には大小様々な振動が伝わってくる。

スタッフは「つい私たちは、視覚から得る情報だけでアートを理解しがちです。でも、このイベントではアートを全身で体感できます。視覚に障害のある人と一緒に作品を鑑賞して、感性を共有する機会にもしてもらえたら幸いです」と話す。

このほか、風のうなりと雷のダイナミクスを体感できる「風神雷神図屏風」、水が流れる様子や草木の揺れなどの環境音まで再現した「下野黒髪山きりふりの滝」が展示された。

上記の4作品には、音声触覚変換デバイスが用いられた。一方で、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「モナ・リザ」には、超音波ハプティクス技術を導入。なんと、モナリザと握手できるという。

そもそもハプティクス(触覚伝達)技術とは、ユーザーに「実際にモノに触れているような感触」をフィードバックする技術のこと。これを超音波の振動で実現する。作品の展示にあたっては、東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 篠田・牧野研究室が協力した。何も装着していない人の手のひらに“触覚を提示”するとの説明だが――。

アナウンスに従い、装置の中に手を入れてみた。するとディスプレイのモナリザが「ふふふ。はじめまして。私はモナリザ」と自己紹介をはじめる。やがて、なるほど不思議な触感がやってきた……! こちらが差し出した右手を優しく両手で包み込むような、そんな温かさを感じる。ここでギョっとして装置の中を覗き込んだが、手には何も触れていなければ、ファンが回って風が吹いているような様子もない。スタッフに聞けば、これが超音波ハプティクス技術だという。

このあとモナリザは「私からの特別なプレゼント」と意味深な発言。なんだろうと期待して待っていると、人差し指で、手のひらをなぞるように触れてきた! ドキドキが止まらない。

○■イベント開催のきっかけは?

電通デジタルの澤田悠太氏は、とある機会に美術館でアート作品に触ろうとする小さな子どもを見て、本イベントを開催するヒントを得たと明かす。その後、アイデアをチームに持ち帰って議論を重ねるうちに、目の不自由な方も楽しめる趣向が盛り込まれることになる。「これまで芸術鑑賞と言えば、視覚を頼りに1人で観賞するものが主でした。そこで超さわれる美術館は、視覚障害の方も没入体験でき、バディやサポーターの方と感想も共有できる、そんな美術館を目指しました」と澤田氏。

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