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バイプレイヤーの泉 第147回 中村ゆり、『さよならのつづき』で見せた演技があまりにも良すぎた

マイナビニュース / 2024年12月28日 6時0分

画像提供:マイナビニュース

コラムニストの小林久乃が、ドラマや映画などで活躍する俳優たちについて考えていく、連載企画『バイプレイヤーの泉』。

第147回は女優の中村ゆりさんについて。私のように四六時中、連続ドラマを見張っているようなオタクにとっては、ずっとお見かけしていたきれいなお姉さん。最近観た『さよならのつづき』(Netflix)で、中村さんが演じた成瀬ミキ役の演技がとても良かった。そのことをおばさんの井戸端会議風に広めたくなったので、筆を取る。
○変わりゆく夫を見つめるミキ

全8話の『さよならのつづき』は切ないドラマだ。

プロポーズされたその場で最愛の人を失った、コーヒー製造会社に勤務する菅原さえ子(有村架純)が主人公。失意の底で日々を送るなか、出会ったのは婚約者の中町雄介(生田斗真)の心臓を移植した大学職員の成瀬和正(坂口健太郎)。通常、ドナーとは手紙がコンタクトを取ることができない。ここで偶然が重なって、ふたりは出会ってしまう。

亡くなったと思っていた恋人の心臓が、目の前の人間の中で動いていると知ったら……そりゃ愛おしくなる。

ただ成瀬はミキ(中村)という名前の妻がいる。妻の実家で同居をして、ミキは農園業を手伝う。妻を裏切るつもりは毛頭ないけれど、さえ子を放置しておくこともできない成瀬。

主役のふたりが軸となって、ラブストーリーが進んでいくのは当たり前。ただ中村さんの「わかっているんだけど……」と思いながらも行動が止められなくなってしまう、ミキの成瀬を見守る演技が非常に良かった。いくつか挙げていく。

夫は移植後、急に明るい人間になり、性格も行動も食の好みも変わってしまう。移植相手を深く知ろうとする夫に、

「(事実を)聞きたくない。カズが(移植相手のことを)知りたい気持ちは分かるけれど、知りたくない」

本音が漏れるミキ。好きだった夫が移植で変わってしまいました、じゃあ離婚しましょうというわけにもいかない。病気で衰弱していた時期を支えたぶん、愛情は濃くなる。
○繊細さを求められる演技にグッと

さえ子との対峙するシーンも強烈だった。もう夫と会わないでほしいと、さえ子に詰め寄るミキ。我慢が限界だったんだろう。

「あなたの恋人の心臓で生きていると思いますけど、成瀬は成瀬です」
「不倫のほうがよっぽど良かった!」

セリフが重かった。そうだよなあ、不倫ならもう三行半を突きつけることができるし、相手に呆れることだって、誰かを恨むことだってできる。でもミキにはその矛先がない。

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