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清水海上技術短期大学校の学生がタンカー見学 - リアルな職場の大変さと魅力を学ぶ

マイナビニュース / 2024年12月25日 15時13分

ケミカル船のタンク内のクリーニングでは、スプリンクラーのような装置を使って水で洗い流した後、船員が毒ガスの検知器など使いながらタンクの内部に入って点検する作業もあるという。これはケミカルタンカー特有の作業で、同種の荷物を運ぶ専用船と呼ばれるタンカーでは、船員がタンクの中に入ることは基本的にあまりないそうだ。

「のじぎく」の乗組定員は6名(+予備室1)で、京浜〜関門の航路を月8〜12航海している。荷物の性質や季節によって扱い方などが変わるといった苦労も多い分、ケミカル船ならではのやり甲斐やおもしろみも大きいという。

今回、同行させてもらった班は同船を見学した後、ガソリンや軽油、灯油といった油種を積む白油タンカー船の「昭久丸」へ。

まずは最上部甲板である「コンパスデッキ」からの眺望を楽しみ、最新式のCOC(Cargo Oil Control room)を見学した。

タンカーは石油・液化ガス等の荷役の際、船に備え付けられたポンプ(カーゴポンプ)を用いている。COCはこのカーゴポンプの起動/停止やバルブの開閉といった操作を遠隔で実行できる荷役全般のコントロール制御室だ。

実際の荷役作業では事故を防ぐため必ずデッキ上の現場にも人員を配置して、トランシーバーで連絡を取り合い、バルブの作動状況などを確認しながら荷役を行っているという。制御室のモニターを見てもラインが複雑すぎて初見ではよくわからないが、学生たちはバルブの開閉状況の見方や操作方法などを教わり、実際にバルブ開閉の操作を体験していた。

通常、荷役の開始から終了までの7時間ほど。流速(時間当たりの移送量)は各製油所などによっても変わり、同船は5000キロリットル積みのため、1時間に500キロリットル流れる場合だと荷役時間は約10時間、1000キロリットルの場合だと約5時間という計算になる。また、油種が2種以上の場合は同時荷役も可能らしい。

その後は船橋、船員の居室、エンジンルームなどを巡り、最後は船首デッキへ移動して、ファイヤーワイヤーと呼ばれる非常用曳航ワイヤーロープなどの説明を受けた。

ファイヤーワイヤーは、引火性液体類などを積む輸送船で火災等の非常事態が接岸中に発生した場合、タグボート等を使用して岸壁から引き出すためのワイヤーロープ。船首と船尾のそれぞれに備えつけられており、危険物を積載する内航タンカーなどでは即時使用可能な状態に準備しておくよう、指導がなされているという。

船員の仕事で最も危険とされる係船作業では、係船索(船舶を岸壁や海底に繋ぎ止めるために使用されるロープ)の付近など危険な場所に立ち入らないよう、とくに新人船員は口酸っぱく注意されることなども説明。

終始、学生たちは実際のタンカーでの仕事内容や注意点などに真剣に耳を傾けていた。

伊藤綾 いとうりょう 1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催 @tsuitachiii この著者の記事一覧はこちら
(伊藤綾)



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