アルマ望遠鏡、原始星の周辺で生命に必要な有機分子の化学変化を観測
マイナビニュース / 2024年12月25日 15時26分
アルマ望遠鏡は12月24日、明るさが変化している非常に若い段階にある537光年先の星「B335」を観測した結果、原始星が爆発的に増光している最中に複雑な有機分子の振る舞いを追跡し、宇宙において、生命が生まれる上で重要な環境の変化を実時間で直接観察することに成功したと発表した。
同成果は、韓国・ソウル大学のチョンウン=リー氏、理化学研究所の楊燿綸氏らの研究チームによるもの。詳細は、米天体物理学専門誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載された。
星は、水素をはじめとする星間ガスや星間塵などが漂う分子雲の中で誕生する。近傍の超新星爆発などによってさらに星間ガスや星間塵が集積して分子雲コアが形成され、自己重力で収縮が続き、やがて中心部に集まりきれなかった星間ガスや星間塵が渦(原始惑星系円盤)を巻く中、その中心部の密度が臨界値を超えると核融合が始まり、星として輝き出すのである。こうして一度輝き出したら、晩年に赤色巨星になるまでは星は一定の明るさを維持し続けていくものと思われるかもしれないが、そうではない。原始星として輝き出しても、すぐに周囲の原始惑星系円盤がなくなるわけではなく、物質の供給(落下)は続くため、停滞と成長を繰り返しながら、ゆっくりしたペースで大きくなり、より明るくなっていくのである。
さらに落ち込む物質の量もまちまちであり、時々非常に多くの物質が星に供給されることもある。物質が多量に落ち込むと星の明るさが急増し、周囲の塵をより強く温める。星が輝き出すまでは、分子雲は絶対零度に近いような極めて低温であり、さまざまな有機分子も凍結した状態で漂っている。それらが星が輝き出すことで、星に近い領域では温められて気体となって解き放たれるようになる。明るさが急に増大した際は、そうした有機分子が気体となるか凍結しているかの境目であるスノーラインが大きく変動してより星から遠方へと広がるため、その結果としてより多くの有機分子が気体となる。その結果、遊離した複雑な有機分子は電波を放つようになり、それを電波望遠鏡で観測できるようになるのである。
爆発的な増光が終わればスノーラインが星の近くまで縮まるので、気体となっていた複雑な有機分子は、再び塵の表面で氷の状態に戻る。そのため、複雑な有機分子からの電波は弱くなると考えられている。そこで研究チームが今回、アルマ望遠鏡を用いて、クラス0の非常に若い星であり、よく観測されているB335を観測したという。
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