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イプシロンS第2段の爆発原因調査が開始、能代と種子島で大きく変わったFTA

マイナビニュース / 2024年12月30日 11時0分

画像提供:マイナビニュース

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月25日、イプシロンSロケット第2段モーターの再地上燃焼試験で発生した爆発事故について、原因調査の最新状況を説明した。まだ本格的な原因調査に着手したばかりという段階であり、今回新たに判明した事実はあまりないが、各種データの詳細評価のあと、次回は2025年2月に進捗を報告する予定だという。

爆発はモーター後方側から発生

イプシロンSロケット第2段モーターの「E-21」は、2023年7月に能代ロケット実験場で実施した地上燃焼試験に続き、2024年11月26日に種子島宇宙センターで実施した再地上燃焼試験でも爆発が発生。JAXAは同日中に原因調査チームを立ち上げ、岡田匡史理事/宇宙輸送技術部門長をチーム長として、原因調査を進めてきた。

前回の記者説明会は、12月5日に開催。今回は、それからの20日間で進展があったことについて、井元隆行・イプシロンロケットプロジェクトマネージャより報告があった。

まず、今回追加で公開されたのは、爆発時の前方からの画像。爆発前の画像では、飛散物や燃焼ガスのリークも確認できるが、ここから新たに分かることはあまりない。

そして、加速度センサーと歪センサーのデータを調べ、変動の時間的な順番を特定。燃焼ガスのリークや爆発は、モーターの後方側で発生したと結論づけた。ただし、これはすでにその可能性が高いとみられていたことなので、特に驚きはない。

また温度データは、ガスリークの発生前までに、後方では1〜5度程度、前方では0〜2度程度上昇していたという。これはモーター外表面の温度であるため、内部の温度がどうなっていたかは分からないのだが、この温度上昇の数値については、前回の能代のときと大きくは変わらないとのこと。

飛散した破片の回収状況であるが、地上の飛散物は回収が完了。海中は回収作業を継続中で、ノズルの下側が見つかったという。特に重い金属部材などは遠くに飛んでいるとみられ、井元プロマネは「できるだけ拾いたい」とした。

なお前回の記者説明会では、イプシロンSロケットの当初の目標であった2024年度中の打ち上げは「現実的に不可能」と岡田氏より説明があったが、その後、JAXAの理事会議で了承され、組織としての正式決定となった。ただ、2025年度中にできるかどうかは、まだ判断できる段階ではない。

FTAは3つのトップ事象で開始

前回の記者説明会ではまだ、燃焼試験で発生した事象を把握している途中だったが、今回、試験データ・回収品や、設計・製造・検査データに基づく原因調査に着手。原因調査には、FTA(故障の木解析)と呼ばれる手法を採用するのだが、以下の3つをトップ事象として設定し、そこから枝分かれするあらゆる可能性を調べ上げていく。

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