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歴史を感じる“温もりのある”アイテムへ - 2024年、そして2025年の腕時計トレンド

マイナビニュース / 2024年12月30日 11時45分

もちろん腕時計は「時を知る道具」でありそのニーズは今もある。でも当時もいまも、人が“良い腕時計”を欲しがるいちばんの理由は、自分のスタイル、好みや趣味、個人のセンスを表現するファッションアイテムだからだ。
○進化を続ける機械式時計

携帯電話やスマートフォン、スマートウォッチが登場したこの30年間のあいだ、時計ブランドは技術革新を怠っていたわけではない。こうしたデジタルデバイスを脅威だと捉えて、積極的に技術革新に取り組んだ。その結果、たとえば機械式時計の耐磁性(※)は、心臓部に磁化しないシリコン素材の部品を採用することで、強い磁気を放つスマートフォンの近くに置いてもほぼ問題ないレベルにまで高まった。

※機械式時計の耐磁性:機械式時計のムーブメントが磁力を帯びると、時計が進んだり遅れたり、針が止まったりと、動作に支障をきたす。

そしてコロナ禍による異例の金融緩和と消費シフト、つまり金融緩和による世界的な株価の高騰=富裕層の金余り現象。「贅沢旅行の代わり贅沢品を購入しよう」という富裕層の行動は、世界的な高級時計ブームへとつながった。これまで時計に興味のない人々が時計を購入してくれたことで、2021年以降、時計業界は異常な好景気が続いてきた。

だが、好景気にもどんなブームにも終わりはあるし、「負の遺産」は残る。2024年に入っても一部の時計ブランドは依然として絶好調。だが時計業界全体はこの「負の遺産」に苦しんでいる。“異常な製品価格の高騰”による販売不振だ。

日本の場合、これに円安という為替の影響がさらに上乗せされている。もはやスイスの高級時計はどれも、時計ブランド自身が「高過ぎる」と自嘲するくらい、普通の人々には手が届かない富裕層アイテムになってしまった。
○誰にとっても魅力的で楽しめる腕時計へ

筆者が注目する2024年のふたつの時計トレンド、「お手ごろ価格のスイス時計」と「シンプルな機械式ウォッチ」は、“異常な製品価格の高騰”による販売不振とスマートウォッチの“成熟”というもうひとつの状況――。このふたつを踏まえて生まれた、時計業界からの消費者に対するラブコールだ。

昔ながらの時計、なかでも機械式時計という精密機械には、機能だけでは割り切れない、人を惹き付ける不思議な魅力がある。だから時計は着ける人のライフスタイル、所有する人の好みや趣味、個人のセンスを表現するファッションアイテムになることができた。だから消費者は、機能ではスマートウォッチにまったく敵わないのに価格の高い時計を購入してくれる。このことを、長く時計産業で働いている人々はよく理解している。

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