香取慎吾のイメージを変えた『薔薇のない花屋』 主人公とSMAP解散後の姿にオーバーラップも
マイナビニュース / 2025年1月8日 11時0分
●強烈なキャラクターのイメージから一転
9日、香取慎吾主演ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系、毎週木曜22:00~)がスタートする。放送前に話題を集めていたのは、香取がこれまでのイメージとは異なる「日本一の最低男」を演じること。
実際、過去作を振り返ると、『西遊記』(フジ)の孫悟空、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(TBS)の両津勘吉、映画『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』の服部カンゾウなど、「強烈なキャラクターのイメージが強い」という人が少なくないだろう。
しかし、香取にはラブストーリーで月9ドラマの主演を務めた過去があり、しかも業界内では「隠れた名作」という評価もあるのが、2009年1月期の『薔薇のない花屋』(フジ ※FODで第1・2話配信中)。17年前に放送された当作はどんなところが支持されていたのか。さらに、令和の現在につながるものはあるのか。ドラマ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
○愛の障壁や枷に注力する野島脚本
真っ先にふれなければいけないのは、野島伸司の脚本であること。
野島と言えば、93年の『高校教師』、94年の『人間・失格~たとえばぼくが死んだら』、95年の『未成年』、98年の『聖者の行進』(すべてTBS)。さらに企画・原案として関わった94年・95年の『家なき子』(日本テレビ)も含め、時に“野島ワールド”と言われた「過激な設定や展開で引きつける脚本家」というイメージの人が多いのではないか。
その93年から98年のインパクトが強すぎるため知らない人も多いが、もともと野島は純度の高いラブストーリーの名手。連ドラデビュー作となった88年の『君が嘘をついた』を筆頭に、90年の『すてきな片想い』、91年の『101回目のプロポーズ』(すべてフジ)まではピュアなラブストーリーの担い手だった。
その後の野島は過激路線を経て、21世紀に入るとラブストーリーに戻り、時折ホームドラマを交えながら現在に至っている。その中でもラブストーリーであり、ホームドラマとしても高純度だったのが当作。これまで野島はカップルにしろ、家族にしろ、愛を描くときは必ずそれに立ちはだかる“障壁や枷(かせ)”に最大級の力を注いできた。
つまり野島は「愛に立ちふさがる“障壁や枷”をいかに描くか」にこだわった脚本家なのだが、当作で用意したのは、シビアかつトリッキーな設定。第1話冒頭から、花屋を営む主人公・汐見英治(香取慎吾)のもとに「盲目の女性・白戸美桜(竹内結子)が現れる」「謎の病院長・安西輝夫(三浦友和)がなぜか英治への復讐をたくらむ」「一人親として育てる娘・雫(八木優希)が目出し帽のような頭巾をかぶる」というシーンの連続に驚かされた。
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