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千葉大、JWSTにより約65億光年の銀河で40個以上の星の観測に成功

マイナビニュース / 2025年1月8日 16時37分

画像提供:マイナビニュース

千葉大学は1月7日、天然の巨大な集光現象である重力レンズ効果を用いて得られたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による2022年12月と2023年12月の観測画像を比較することで、およそ65億光年彼方の銀河内に存在する星々の見かけの明るさの変動を捉え、従来の遠方銀河内における単独の星の発見数を大幅に塗り替える、40個以上の星々を発見したことを発表した。

同成果は、千葉大 先進科学センターの札本佳伸特任助教、同・大栗真宗教授、同・阿部克哉特任研究員(研究当時)、千葉大 融合理工学府の河合宏紀特別研究学生らが参加する国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の天文学術誌「Nature Astronomy」に掲載された。

我々の天の川銀河以外で、通常の観測で個々の星々を分離して識別できるのは、約250万光年の距離に位置するアンドロメダ銀河ぐらいまで。何億光年も離れた遠方銀河においては、内部の星々を個別に検出することは不可能だ。それは、遠方になるほど星の見かけ上の明るさが極めて暗くなることと、その銀河内で密集する星々が1つの光の集まりとしてしか観測できなくなってしまうことが理由だが、もし遠方銀河内の星々を個々に分離して観測できれば、初期宇宙から現在までの銀河の進化に関する大きな手がかりが得られるという。

そうした中で近年になって開発されたのが、重力レンズ効果を用いて遠方銀河内の個々の星々を観測するという手法だ。重力レンズ効果とは、多数の銀河が集まった銀河団などが有する強力な重力が、光を曲げる現象を指す。その巨大な重力が望遠鏡の屈折レンズのような働きをして、銀河団の背後にあるさらに遠方の天体からのとても弱い光に対して極めて強い集光効果を生じさせ、本来の何百~何千倍にも明るくなることを利用して観測する手法である。これにより、2018年に初めて遠方銀河内の星が単独で検出されたが、これまでは遠方銀河1つに対して1個ないし数個程度の検出にとどまっていた。そのため、遠方銀河内の星の種族を統計的に研究する上で(銀河内の異なる質量の星の個数の分布を調べることで、その銀河の生まれた時期やこれまでの歴史を調べることが可能となる)、より多くの星々の検出が望まれていたのである。そこで研究チームは今回、くじら座の方向にある地球から約40億光年離れた銀河団「アーベル370」の背景に位置する、約65億光年離れた銀河に着目したという。

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