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岡山大、宇宙インフレーション検証衛星の測定誤差最小化手法を発見

マイナビニュース / 2025年1月9日 16時47分

画像提供:マイナビニュース

岡山大学は1月7日、現在では宇宙誕生後約38万年の時点までしか観測的に遡れないのに対し、観測不能なビッグバンのさらに前の「インフレーション」の検証を行う将来の衛星の超高精度な観測手段において、測定誤差を最小化する手法を発見したと発表した。

同成果は、岡山大大学院 自然科学研究科の髙瀬祐介大学院生(日本学術振興会 特別研究員)、岡山大学術研究院 環境生命自然科学学域(理)の石野宏和教授、東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構のGuillaume Patanchon客員研究員らを中心とする、イタリアやフランスの研究者も参加した国際共同研究チームによるもの。詳細は、宇宙論と素粒子天体物理学に関する全般を扱う学術誌「Journal of Cosmology and Astroparticle Physics」に掲載された。

一般的には、宇宙は「ビッグバンから始まった」と捉えられているが、厳密には異なると考えられている。宇宙では、誕生直後に、例えるならアメーバが一瞬にして銀河サイズにまで拡大するようなとてつもない膨張であるインフレーションが発生。それがあるタイミングで終了し、その時のエネルギーが光に転化したことで、極めて高温のビッグバンが生じたと考えられているのである(要はビッグバンよりも前がある)。これが、佐藤勝彦博士とアラン・グース博士が、およそ45年前にほぼ同時に独立して提唱したインフレーション理論である。

この仮説によると、インフレーションの間に量子揺らぎによりエネルギー密度(温度)の差が生じ、それが種となってできた重力不安定性により、現在の宇宙の銀河や星ができたという。また、空間の量子揺らぎにより「原始重力波」が発生したと考えられており、同重力波は、「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)に特徴的な偏光を生む。つまり、CMBの偏光を観測して原始重力波を見つけることができれば、インフレーションの決定的な証拠となるのである。

CMBは“ビッグバンの残光”といわれ、宇宙で初めて直進できるようになった最古の光だ。ビッグバンによって宇宙中が超高温でプラズマ状態(より高温の時期にはクォークすらバラバラな状態だったという)だったため、光が主に電子と散乱してしまって直進できず、光学的に見通すことができない状態だった(つまり我々はどのような電磁波を用いても、ビッグバンより前の時代は光学的に観測できない)。

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