テレビ解説者・木村隆志のヨミトキ 第85回 ヒコロヒー、初の連ドラ脚本がスタート 業界内で「バカリズムに匹敵する才能」と言われる背景とは
マイナビニュース / 2025年1月16日 6時0分
彼女自身『トーキョーカモフラージュアワー』について、「どんな結末になるかはわかりませんが、大都会東京でめいっぱいに他人を好きになるということの苦しさと愛おしさを表現するドラマになると思います。好きになってよかったと言える人に出会える街が舞台です」とコメントしていたことからも、毒以上に「エモ」「チル」で視聴者を楽しませるのかもしれない。
もちろん芸人らしい笑いも含め、ウソのないぶっちゃけキャラの彼女が脚本を担うことで「原作漫画の魅力をさらに広げてほしい」という制作サイドの狙いが伝わってくる。
●笑いと感動が共存した高品質なネタ
芸人全体に話を広げると現在、脚本でトップを独走状態なのはバカリズムで間違いないだろう。
今冬も1月5日にスペシャルドラマ『ノンレムの窓2025・新春』(日本テレビ)を手がけたほか、12日には連ドラの『ホットスポット』(同)がスタート。もはや芸人という枠を超えて、時代を象徴する脚本家の1人と言っていいかもしれない。
その他では、劇団ひとり、かもめんたる・岩崎う大、シソンヌ・じろう、かが屋・賀屋壮也、空気階段・水川かたまり、ハナコ・秋山寛貴、吉住、ザ・マミィ・林田洋平、Aマッソ・加納、男性ブランコ・平井まさあきなど、幅広い芸風と世代の芸人がドラマの脚本を手がけてきた。
さらに「さまざまな芸人が脚本を手がけるドラマ」というコンセプトで、21年に『でっけぇ風呂場で待ってます』(日テレ)、22年に『脚本芸人』(フジ)、23年に『お笑いインスパイアドラマ ラフな生活のススメ』(NHK総合)が放送されたことからも、業界内の「それが当たり前」というムードがわかるだろう。
芸人が手がける脚本の良さは、主に「キャラクターとかけ合いの面白さ」「笑いの手数が多い」「オチにこだわる」ことの3点と言われている。その3点はいずれも専業脚本家とは異なる視点から描かれるため、「似た作品ばかり」と言われがちなドラマシーンの中で異彩を放つことが可能。ここで名前は出せないが、実際に「芸人としての活動をセーブして脚本に専念したほうがいい」と言われる芸人もいる。
前述した芸人はいずれもコントの名手であり、単独ライブの評価が高いほか、劇場で強みを発揮できるタイプが多い。しかも、単にコントをするだけでなく、作り手として笑いと感動を共存させた高品質な舞台を手がけていることがドラマ関係者からの評価を上げている。
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