お手本通りの快勝譜 豊島九段が増田八段封じ3勝目 第83期順位戦A級7回戦
マイナビニュース / 2025年1月15日 11時30分
第83期順位戦A級(主催:朝日新聞社・毎日新聞社・日本将棋連盟)は7回戦が進行中。1月14日(火)には2局が行われました。このうち名古屋将棋対局場で行われた豊島将之九段―増田康宏八段の一戦は117手で豊島九段が勝利。大一番を制して残留に向け一歩前進しました。
○長い長い中盤戦
ここまで4勝2敗の増田八段と2勝4敗の豊島九段、挑戦と残留というそれぞれの目標に向け負けられない戦いが続きます。先手番で迎えた本局で豊島九段は雁木を志向、角換わりの研究勝負を避けて持久戦の力勝負に持ち込みました。後手の増田八段が矢倉に構えたのを見た豊島九段は首尾よく右桂を跳ねだして自然に駒を活用していきます。
夕食休憩が明けてもジリジリとした間合いの計り合いが続きます。形勢は難解ながら、盤上中央に取った2つの位が大きく物を言って先手作戦勝ちといった印象。22時を過ぎたころ、豊島九段は満を持して模様の良さの具体化に取り掛かりました。敵陣に向けて次々と歩を突き捨てたのが格言「開戦は歩の突き捨てから」を地で行く好手順です。
○豊島流の快勝譜
突き捨ての歩から垂れ歩と、連続の歩の手筋で攻勢に出る豊島九段はさわやかな決め手を用意していました。香を犠牲に王手銀取りの桂打ちを放ったのが痛打で、この手を境に一気に先手優勢に。駒がバラバラな後手陣は攻守ともにまとめるのが大変で、さすがの増田八段も粘りが効かない格好でした。終局時刻は22時51分、このまま形勢の開きを認めた増田八段が投了。
一局を振り返ると、無理のない駒組みから丁寧に作戦勝ちを築いた豊島九段が棋風通りきれいに攻め切る快勝譜に。1時間ほど行われた感想戦は増田八段の「(中盤で)勝負所を逃してしまった感じ」という言葉でお開きとなりました。豊島九段は今期3勝目を挙げ残留に向け前進、敗れた増田八段は3敗目で名人挑戦に向け一歩後退となりました。
なお同日、関西将棋会館で行われた稲葉陽八段―菅井竜也八段の一戦は118手で稲葉八段が勝利を収めています。
水留啓(将棋情報局)
(将棋情報局)
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