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ispaceの月着陸機は順調な船出。次なる関門は初挑戦の“月フライバイ”

マイナビニュース / 2025年1月16日 21時30分

西経4.6度というのは地球から見てほぼ中央に位置するので、半月の少し後くらいが朝になるタイミングだ。国立天文台のWEBサイトを見たところ、6月3日が上弦ということだったので、その数日後あたりになるのではないだろうか。

ispaceが初めて挑む“月フライバイ”とはなにか

今後、まず注目したいのは、およそ1カ月後に実施される予定の月スイングバイである。同社は、月の近くを通過するという広い意味で「月フライバイ」と表現しており、その完了が「サクセス5」になっているのだが、宇宙ファンにはより細かく「月スイングバイ」と言ったほうが分かりやすいと思うので、本記事ではそのように表記する。

ミッション2のランダーは前回と同型機であるものの、月へ向かう軌道は大きく異なる。前回は単独打ち上げだったため、ロケットの能力をフルに活かして地球から遠く離れる軌道に投入。そこから時間はかかるものの、推進剤を節約できる低エネルギー遷移軌道を通って月へ到達した。

一方、今回はFirefly Aerospaceとの相乗りだったため、投入されたのは月軌道付近を遠地点とする長楕円軌道である。まず1カ月ほどは地球を周回し、2.5周したタイミングで月に接近。ここでスイングバイを行い、ランダーを加速して、地球から110万km程度まで離れる低エネルギー遷移軌道に向かう計画だ。

ちなみにFireflyの「Blue Ghost」は、RESILIENCEより早く、打ち上げから約45日間で着陸する予定だ。約25日間の地球周回軌道のあと、約4日かけて月へ向かい、月周回軌道に投入後は約16日かけて高度を下げ、月面への降下を行う。同じロケットで打ち上げても、これだけ軌道計画が違うのはちょっと興味深い。

今回はispaceにとって2回目のフライトではあるものの、スイングバイは前回やっておらず、同社にとってこれが初めての挑戦。スイングバイでは、決められたところを決められたタイミングで精度良く通過する必要がある。延期が許されないシビアさがあり、決して簡単なことではない。

ランダーの軌道制御に求められる精度は、「10km以下、5kmくらい」(ミッション2開発統括の日達佳嗣氏)という高さ。しかし、「ミッション1で十分に軌道制御と軌道計画をやってきた実績がある」(同)とし、成功に自信を見せた。

なおミッション2は、最初に投入されるのが地球周回軌道であるため、ランダーは遠地点を過ぎたら、また地球の近くに戻ってくる。そういう機会には撮影も行っていく予定とのことで、今後、ランダーから届く地球の画像も楽しみにしたい。

大塚実 この著者の記事一覧はこちら
(大塚実)



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