カレー沢薫の時流漂流 第335回 「ニュース離れ」ではなく「ニュース回避」という言葉が生まれたらしい
マイナビニュース / 2025年1月20日 13時5分
2024年、私は各所で「最近のXは治安が悪すぎる」と言ってきた。
特にイーロンに買収されてから実装した「おすすめ欄」のドス汚れ方は並ではない。
ギャン中借金垢が席巻しているときは神機能と思えたが、今では子育てに悩むアカを夕暮れに「好きで産んだくせに」という棍棒で殴る音が響き渡ってブルースが加速してるし、そこで輝くサレ妻ソウル、途中で大晦日に起きていたにも関わらず紅白B’Z出演を見逃した怒りに変わって来る有様だ。
そしてその間も、私のおすすめ欄では「なんかみんな盛り上がっちゃってるけど90年代B‘zなんてクソダサの象徴だったんだぜ」という論争が行われていた。
もちろん日が代わり1月1日になってもこの調子だ。
逆にさっきまでB‘Zの悪口を言っていた人たちが突然「あけましておめでとうございます旧年中はお世話になりました今年もよろしくお願いいたします」と初春の喜びを申し上げだしたら、日付変更の瞬間(ハイ)と殴り殺されて別人に乗っ取られたかのようで怖いし、むしろ日をまたいだだけで生まれ変わったつもりになっている連中とは一味違うと言える。
Xに対する文句は尽きないが、愚痴が夜更けすぎに「それでもイーロンのこと嫌いになれない」と、DV彼氏と頑なに別れない女の恋バナに変わりだしたころ、それまで我慢して聞いていた人たちも大体離席する。
そしてホッピー1杯で粘ってくれた最後の一人が「そんなに嫌なら見なきゃいいじゃないか」と言ってこの話は終わる。
ちなみに最後の1人はイマジナリー自分だし、何だったら途中離席した奴も全員自分だ。
この年になるとわざわざ苦言を呈してくれる人などいなくなるし、そもそも話を聞いてくれる人がいなくなる。
自ずと己と対話するしかなくなるため、思考が余計凝り固まり、気づいたら老害か陰謀論者になっているのだ。
しかし「見なければいい」という、俺が私にしたアドバイスはあながち間違いではなく、この助言を実行する人が増加傾向にあるという。
○嫌なら見ないし、興味がないから、意味がないへ
最近「ニュース回避」をする人が増えており、若年層ほどその傾向が強いという。
釣り具屋に行くと、中高年を釣る餌として「若者の〇〇離れ」が売られていることはあまりにも有名だ。
これも我々が喜ぶ「若者のニュース離れ」の話かというと、それとは違うようだ。
「離れ」は興味を失って離れる、もしくは最初から近寄ろうともしていない状態だが、「回避」は気になりつつも、意識的にあえて近づかないようにしている状態だと思われる。
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