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光度の周期変動型クェーサーは2つの超大質量ブラックホール合体の証拠か

マイナビニュース / 2025年1月20日 20時38分

画像提供:マイナビニュース

東京大学(東大)は1月16日、赤外線で極めて明るい銀河(ELIRG)の中心に位置する、非情に明るいクェーサーである「WISE J090924.01+000211.1」を観測した結果、光度(明るさ)の周期的な変動という稀な現象を発見し、その周期が約1900日(静止系では約700日)であることを発表した。

同成果は、東大大学院 理学系研究科附属 天文学教育研究センターの堀内貴史特任研究員を中心とする研究チームによるもの。詳細は日本天文学会が刊行する英文学術誌「Publications of the Astronomical Society of Japan」に掲載された。

クェーサーの性質の1つに、光度の時間変動がある。この光度変動は一般的にはランダムだが、1000個~1万個に1個の割合で周期的な光度変動を示すものが存在することが確認されつつある。このような変動の物理的要因の詳細は未解明だが、有力仮説の1つに、2つの超大質量ブラックホール(SMBH)の周期運動によるものが挙げられている。

今回観測されたELIRGは、過去にブラックホールを含む銀河同士の合体を経験した可能性があり、銀河とSMBHの共進化のピーク段階にあると考えられている。ただし、その光度変動については詳しく調べられていなかったことから、研究チームは今回、測光アーカイブデータを用いて同現象を探ったという。

今回の研究では、移動天体や突発天体などの検出を主目的としつつ、それ以外にもさまざまな天体データが格納されている3種類の測光アーカイブデータの可視・近赤外線データが使用された。そして、それらの分析の結果、正弦波でモデリング可能な周期光度変動が確認されたとする。

ただし周期性が偶然出現した可能性もあるため、その可能性を排除すべく、周期変動の傾向が継続しているのかどうかを追観測で検証する必要があったとのこと。そこで研究チームは2021年2月から2022年2月まで、国立天文台 石垣島天文台の「むりかぶし望遠鏡」や、3バンド同時撮像カメラ「MITSuME(ミツメ)」(国立天文台 岡山天体物理観測所と東大 宇宙線研究所 明野観測所の可視光50cm反射望遠鏡のそれぞれに装備されている)による可視・近赤外線測光モニター観測が実施された。正弦波モデルに基づき、観測期間中に光度が暗くなる傾向が予想されていたが、その通りにゆっくりと暗くなる様子が観測されたという。

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