蛍の光、月を照らせ - 米企業ファイアフライの「ブルー・ゴースト」、月面着陸への挑戦
マイナビニュース / 2025年1月23日 20時54分
激化する月ビジネス競争の中で、またひとつ新たな挑戦が始まった。
米ファイアフライ・エアロスペースが開発した月着陸機「ブルー・ゴースト」が2025年1月15日、ロケットで月へ向かって飛び立った。
早ければ3月2日にも月面着陸に挑む予定で、同社にとって初の月面着陸であるだけでなく、民間企業として史上初めての“完全成功”を目指す、重要なミッションである。
ファイアフライのブルー・ゴースト
ファイアフライ・エアロスペース(Firefly Aerospace)は、2014年創業の宇宙企業で、米国テキサス州に拠点を構える。
同社は主に、ロケットの開発と運用を手がけており、2021年から小型ロケット「アルファ」を開発しているほか、現在は大型ロケット「MLV」を開発している。
また、月着陸機の開発にも注力している。米国航空宇宙局(NASA)が中心となって進める国際有人月探査計画「アルテミス」では、月への物資輸送を民間に委託する方針で、ファイアフライをはじめいくつもの企業が、自社製の月着陸機による月面着陸と、それによる継続的な月輸送ビジネスの確立を目指している。
同社が開発した月着陸機「ブルー・ゴースト」は、高さ2m、幅3.5m、打ち上げ時質量は約1500kgで、小型の乗用車くらいの大きさがある。月面へ最大155kgの輸送能力をもっている。
電力は太陽電池でまかない、最大400Wを生成できる。月の夜を乗り越える「越夜(えつや)」能力はない。月は昼と夜を2週間ごとに繰り返しており、夜の間は極低温になるため、専用のヒーターなどがないと越夜は難しい。そのため、ブルー・ゴーストは基本的には昼の期間だけ運用することを想定している。
ブルー・ゴーストとは、米国に生息するホタルの一種「Phausis reticulata」に由来している。このホタルは青(緑)の光を放つことから、ブルー・ゴーストという別名でも知られる。
ブルー・ゴースト ミッション1の概要と目的
今回の「ミッション1 (M1)」では、地球から月への飛行、そして月面着陸などの技術を実証する。ファイアフライは「ゴースト・ライダーズ・イン・ザ・スカイ」という愛称もつけている。これは米国の有名なカントリー・ソングのタイトルに由来している。
ブルー・ゴーストM1は、日本時間1月15日15時11分39秒(米東部標準時1時11分39秒)、スペースXの「ファルコン9」ロケットで、NASAケネディ宇宙センターから打ち上げられた。ロケットは順調に飛行し、ブルー・ゴーストを地球周回軌道へ投入した。
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