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吉川明日論の半導体放談 第325回 トランプ新大統領にすり寄るオリガーキー企業

マイナビニュース / 2025年1月24日 6時45分

画像提供:マイナビニュース

いよいよ米国でトランプ新大統領の4年間が始まった。再選なった新大統領が目指すものは「アメリカ第一主義」に基づく、内政、外交、貿易、安全保障と非常に多岐にわたる分野での新たな取り組みだ。その多くが前バイデン政権が打ち立てたものを否定する方向性であるのが目立つ。

バイデン前大統領は直前の退任演説で「超富裕層による少数支配の政治が形成されつつある」と警鐘を鳴らした。直接的にはトランプ大統領自身や、トランプ氏と非常に近しい位置につける実業家のイーロン・マスク氏を指すと思われるが、バイデン氏は「テクノロジー産業の複合体の台頭についても懸念している」とのコメントを付け加えた。

ここで言及しているのはGAFAMらの巨大ITプラットフォーマーの超巨大化とその増大する影響力についての懸念である。少数の支配者とは英文では「Oligarchy(オリガーキー)」と記されている。あまり聞きなれない言葉だが、今後はハイテク業界がらみの社会問題を扱う議論で度々耳にするものになりそうだ。
オリガーキー(寡頭支配)による弊害を危惧するバイデン前大統領の発言

オリガーキーとは国または市場を支配する権力が少数の人物や団体に握られる体制を指す。よく耳にする「モノポリー:独占」が一社による市場支配であるのに対し、「オリガーキー:寡占」は複数のごく限られた複数の大企業によって市場支配が行われる状態である。

「独占」と同じように、市場支配が過度になると、他企業の市場への新規参入が困難になり技術革新を停滞させ、支配企業は支配力をさらに増すことになる。結果的に自由市場のメカニズムが効かなくなり価格上昇など消費者の不利益に繋がる。バイデン政権のもとで、リナ・カーン委員長率いるFTC(米国公正取引委員会)は、巨大IT企業による市場支配について果敢な戦いを繰り広げた。しかしGAFAMに代表される巨大企業の市場支配は、市場全体を一括りに定義することができないため独占禁止法に基づいた政府当局による規制の実施は困難である。現状では、小売り/物流市場でのAmazon、SNSではFacebookのMETA、検索エンジンではGoogleというように、巨大市場に成長した各分野を限られた企業が市場支配を繰り広げていて、利用者はその利便性ゆえに依存度を限りなく上げてしまう場合が多い。オリガーキー企業の経営者たちは、株価の驚異的な上昇で超富裕層を形成していて、世界の中小国家よりも遥かに多くの資産を形成することになり、その影響力は増大する一方である。バイデン氏が退任演説で警鐘を鳴らしたのは、まさにこうしたオリガーキー支配の危険性についてであった。
トランプ新大統領にすり寄る動きを見せるオリガーキー企業

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