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カレー沢薫の時流漂流 第336回 コンビニから「本」が消える日

マイナビニュース / 2025年1月27日 16時17分

画像提供:マイナビニュース

日販が2025年にローソン、ファミマへの雑誌含む書籍配送をやめるそうだ。

まだトーハンが続けるらしいのでいきなりコンビニから雑誌類が消えるということはなさそうだが、この流れでいくとコンビニから紙の本が消える日は遠くないのかもしれない。

そうなると若にそこのセブソでジャソプ買ってこいと言ってポカンとされた、いう老タがXでバズり、逆に「なんでビジネスジャソプなんだよせめてヤングだろ」と怒られる伝統芸が消滅するのだ。

なお日販とトーハンというのは出版取次という仕事をしている会社の2大巨頭で、ひらたく言えば本の問屋さんのような存在である。

今回、コンビニという大きな販路がなくなったことにより、また雑誌の休刊ラッシュが起こるだろうとも予想されている。

確かに私自身も、最後にコンビニで書籍類を買ったのは「バキ SAGA」以降記憶にないし、むしろバキSAGAだからこそ記憶が消えずに済んでいると言える。
○コンビニで毎週ジャンプを立ち読みしていたあの人は今どこに?

実際、他にコンビニで買った本のことなどついぞ思い出せないが、20年以上前、地元のセブソに入った瞬間表紙の梢さんと目が合い、そのままレジに持って行ったことは昨日のことのように覚えている。

私は現在漫画家をしているくせに当時「雑誌で読んだものはわざわざ単行本で買わなくていい」という、作家にとってのクソ客以外の何者でもなかった。

実はバキSAGAも雑誌で全て読んでおり内容は全部知っていた。それでも単行本を買わずにはいられなかったのだ。

バキSAGAは性だけでなく、消費するばかりだった私に「手元に置いておきたい」という感情を教えてくれた作品でもある、ということだ。

だが正直、まだ二十歳前後の若輩だった私はバキSAGAをギャグ、またはホラーとして捉えていたように思う。

しかし今見直してみると、合意の大事さや男女の対等性など、今盛んに叫ばれていることを20年前から先取りした内容であり、これを笑っていた己を恥じるばかりである。

ただ、ここまで先進的な性を描いていながら「避妊描写がない」という点があまりにも惜しすぎると嘆かれ続けているのも事実だ。もし令和版を出すなら、ティッシュの代わりに避妊具を加筆修正してもらえれば、それだけで買う。

このように、たった20年でも、社会、そして価値観は大きく変わる。
○変わったのは届け方、中身の価値は不変?

そして「本」を巡る情勢や価値観も、ここ数年で大きく変わった。

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