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「宇宙を作る」シミュレーション天文学への招待 第2回 アテルイIIIの特性とその目指すサイエンスのゴールとは?

マイナビニュース / 2025年2月3日 7時1分

○【アテルイIIIシステム全体】

正式名称:NS-06 ATERUI III
機種・構成:スカラ型並列計算機 HPE Cray XD2000(水冷式)
総理論演算性能:1.99Pflops
総コア数:3万2396
総ノード数:288
消費電力:548kW(定格、冷却系を含む)

○【システムM】

理論演算性能:1.4Pflops
CPU理論演算性能:3.4Tflops
1ノード理論演算性能:6.8Tflops
CPU:Intel Xeon CPU Max 9480
コア数:2万3296
1ノードあたりのコア数:112
ノード数:208
メモリ転送バンド幅:665TB/s
1ノードあたりのメモリ転送バンド幅:3200GB/s
メモリ量:26.6TB
1ノードあたりのメモリ量:128GB

○【システムP】

理論演算性能:0.57Pflops
CPU理論演算性能:3.6Tflops
1ノード理論演算性能:7.168Tflops
CPU:Intel Xeon Platinum 8480+
コア数:8960
1ノードあたりのコア数:112
ノード数(1ノード2CPU):80
メモリ転送バンド幅:98.24TB/s
1ノードあたりのメモリ転送バンド幅:614GB/s
メモリ量:40.96TB
1ノードあたりのメモリ量:512GB

○【アテルイII】

理論演算性能:3.087Pflops
CPU:Intel Xeon Gold 6148
コア数:4万200
ノード数:1005
メモリ転送バンド幅:257.28TB/s
1ノードあたりのメモリ転送バンド幅:256GB/s
メモリ量:385.9TB
1ノードあたりのメモリ量:384GB

アテルイIIIは、アテルイIIの稼働開始から6年半以上が経ってのリプレースであるため、性能があらゆる面で大幅に向上したものと想像されるところだが、実はそうではないという。理論演算性能だけを見れば、アテルイIIの3.087Pflopsに対し、アテルイIIIは1.99Pflopsであり、1Pflops以上も下回っている。これではスペックダウンのように見えてしまうが、スパコンのトータル性能や使いやすさは、理論演算性能だけでは決まらないし、計算するシミュレーションの種類によっても変わってくるのだ。

シミュレーション天文学では、扱う内容によってスパコンに求められる性能が異なる。同天文学では、大別して「重力多体」、「流体」、「放射輸送」の3種類のシミュレーションがあり、単体もしくはそれらの組み合わせで行われる。この中で、理論演算性能の向上よりもメモリ転送バンド幅を広げることの方が計算の高速化にとって重要となるのが、超大質量ブラックホールの周囲にある降着円盤や、星が生まれる星間雲などを扱う流体シミュレーションだ。

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