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AIが見た月の模様は“うさぎ”か“顔”か? - 模様と緯度の関係が明らかに

マイナビニュース / 2025年1月31日 18時49分

画像提供:マイナビニュース

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月30日、AIが月の模様をどのように見るのかのテストを行った結果、低緯度の月の模様ほど「うさぎ」に、高緯度の模様ほど「顔」に見える傾向があることを確認し、月の模様を「うさぎ」とする文化が低緯度地域に、「顔」とする文化が高緯度地域に発生したことと整合的だったと発表した。

同成果は、JAXA 宇宙科学研究所(ISAS) 月惑星探査データ解析グループの庄司大悟研究員によるもの。詳細は、AIと社会を主題に知識と文化とコミュニケーションを扱う学術誌「AI & Society」に掲載された。

日本を含めたアジアの国々では、月に“うさぎ”がいると考える文化がある。その一方で、欧州などでは、月の模様が“人”もしくは“人の顔”であるという文化が見られる。一般的に月とうさぎや顔が結びつくのは、月面の模様がうさぎや顔に似ているためとされる。また文化人類学では、月の満ち欠けとうさぎの繁殖性の高さにより、両者が共に豊穣のシンボルになったためという説明がなされることから、模様による結びつきは「形状」の類似、シンボルによる結びつきは「習性(動きのパターン)」や「機能(与える印象)」の類似といえる。庄司研究員は今回の研究で、前者を「静的類似性」、後者を「動的類似性」と命名。ただし人間には元々の文化的な偏りがあるため、月の模様とうさぎの形状の類似度を見積もるのは容易ではないとする。

そこで庄司研究員は今回、OpenAIによって2021年に開発・公開されたAI「Contrastive Language-Image Pretraining(CLIP)」を用いて、異なる緯度で見た時の月の模様の向きが、“うさぎ”と“顔”のどちらに見えるかを判断させ分類を試み、月の模様の見え方と緯度との関係について考察したとする。なおCLIPは、未学習の物体カテゴリでも画像を判定できる特徴を持つAIだ。

月の見え方は、時刻や季節、見る場所の緯度によって変化する。これは、月を見る我々の視線の向きが変化するためだ。今回は、紀元前500年ごろの人々も、現代人と同じように夜の早い時間帯(午後8時)によく月を見ていたと仮定し、またうさぎの耳にあたる部分が低緯度地域において直立する1月の向きが用いられた。

そして、海の領域やコントラストの異なるさまざまな画像を用いたテストの結果、低い緯度で観察される月の模様ほど“うさぎ”に、高い緯度での見え方ほど“顔”に見える傾向があることが判明。これは“月のうさぎ”に関する古い記録がインドや中国に、“月面に顔が見える”という古い記録が欧州に存在していることと整合的だという。またAIが月の模様を判断する際、模様の中心部分に注目する傾向があることも明らかにされた。

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