1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

テレビ解説者・木村隆志のヨミトキ 第87回 『御上先生』詩森ろば、『クジャクのダンス』金沢知樹、『ホットスポット』バカリズム…冬ドラマ3トップの脚本家から見える“シビアな現実”とは

マイナビニュース / 2025年2月12日 11時0分

3人の共通点は、ジャンルこそ異なるが舞台の豊富な経験。それぞれセリフの臨場感で見る人々を引き込み、没入感を誘うような人間描写に定評がある。また、金沢は74年生まれの51歳、バカリズムは75年生まれの49歳と業界経験十分の同世代。さらに詩森は2人のひと世代上のベテランであり、いずれも「他の作品を手がけ続けてきたあと、連ドラに本格参戦して円熟した技術を見せている」ことが分かるのではないか。

●「ベテラン脚本家頼み」が通用せず
連ドラは90年代あたりから近年まで、その多くを一部の脚本家が担ってきた。

トップシーンを走り続ける脚本家をあげていくと、野島伸司、岡田惠和、遊川和彦、大石静、井上由美子、北川悦吏子、坂元裕二、福田靖、中園ミホ、浅野妙子、橋部敦子、森下佳子、大森美香、宮藤官九郎、八津弘幸、古沢良太、黒岩勉、野木亜希子あたりだが、その年齢は50~70代。地上波連ドラは60歳前後の脚本家がメインであり、高齢化が叫ばれ続けながらも、新人発掘のコンクールに消極的な局が多く、育成を怠り、一部の人材に頼ってきた歴史がある。

そのため本来、中心を担うべき30~40代の脚本家が少なく、1クールを任せられるベテランとの実力差も指摘されていた。そんなベテラン脚本家頼みの状況が続いていたが、このところそれも難しくなっている。

その主な理由は、「これまで地上波の連ドラを支えてきたベテランが配信ドラマ、映画、舞台、アニメなどの割合を増やしている」「ベテランの中に、今なお視聴率獲得優先を求められ、表現の幅がせまくなり、ネット上で理不尽に叩かれるなど地上波への不満がある」「ベテランがかつてのようにヒット作を手がけられなくなった」「プロデューサーの若返りがあり、やりやすさから世代の近い脚本家を選ぼうとしている」。

また、もう1つ背景として忘れてはいけないのは、ここにきて各局が脚本家の発掘・育成プロジェクトに力を入れていること。これまで新人コンクールに力を入れてきたフジの『フジテレビ ヤングシナリオ大賞』、それに次ぐテレ朝の『テレビ朝日新人シナリオ大賞』だけでなく、TBSが『TBS NEXT WRITERS CHALLENGE』、日テレが『日テレシナリオライターコンテスト』を立ち上げた。
○枠が増え、高まる即戦力のニーズ

ただ、TBSと日テレは海外で主流の“ライターズルーム”と呼ばれるグループでの脚本制作を掲げるなど、脚本家の発掘・育成には時間がかかる。また、フジが発掘して『silent』『海のはじまり』などを手がけた生方美久のような新人はめったに現れない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください