オバマの「対ロシア譲歩演説」の意外な評判とは? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2013年9月12日 13時58分
今回の演説で、オバマは「アメリカは世界の警察官として振る舞うべきではない」と言う意見に対して「同意する」と言っています。この発言だけを聞くとオバマは国際社会における問題解決から逃げようとしているという印象を持つかもしれません。ですが、ここでの「警察官」というのは、アメリカ流の「すぐに銃をぶっ放す」警官という意味であって、国際問題における外交上のリーダーシップから下りるつもりはない、今回の演説全体からはそうしたメッセージが感じ取れます。
困難な状況ではありますがオバマは持ちこたえています。とにかく先手を打って自分の立場を鮮明にするが、その先は様々なプレーヤーがどんな手を打ってくるか、時々刻々の変化を追い続ける、というのは彼の常套手段に過ぎません。その上で自分の「立ち位置の変更」が必要ならそれも臆面もなくやってのけて、「落とし所」を目指す、そうした「成り行き任せ」だが「イニシアティブは握って離さない」方法論について、とりあえず世論から一定の理解を得ることはできた、その意味でこの10日の演説は十分に意味があったという見方ができるのです。
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