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2016年大統領選で「ヒラリー大統領」は誕生するか? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2013年9月24日 12時20分

 共和党側の攻撃ということでは、ヒラリーの「TVドラマ」問題があります。民主党サイドで盛り上がる「待望論」に便乗した形で、NBCテレビが「伝記TVミニシリーズ」を企画したのですが、これに共和党側が猛反対をしています。ヒラリー人気を後押しするようなドラマを放映するのはケシカランというのですが、よく考えるとやがて選挙の季節となれば、三大ネットワークの1つであるNBCにとっては民主党も共和党も「大口顧客」であるわけで、そうなるとNBCとしては、やはり「マズイ」ということにもなるわけです。

 現時点では、この企画に関しては一部に「引っ込みのつかない」部分があるようで完全にキャンセルされてはいませんが、相当に難しくなってきているようです。このエピソード自体が、ヒラリーの影響力と共和党の警戒感を象徴していると言えるでしょう。

 そのヒラリーは相当に有力なのでしょうか? 民主党の中ではそうだと思います。先ほどの世論調査の数字もそうですが、前回にオバマと熾烈な予備選を繰り広げた上で敗北したヒラリーに対して、「次こそはヒラリー」という思いを寄せている人は多いと思います。

 では、仮に民主党の統一候補となった場合に、本選ではどうなるでしょうか? 仮に前回のマケイン候補のように、ベテランの上院議員などが出てくれば良いのですが、共和党内の情勢は全く正反対です。共和党支持者の間で2016年に向けて「待望論」があるのは、40~50代の若手です。

 ニュージャージー州知事で「コストカッター」であるが、基本的な政策では中道のクリス・クリスティ、強烈な「小さな政府論」の延長でシリア攻撃「反対」の急先鋒であったランド・ポール(上院、ケンタッキー)、不法移民の合法化に尽力するヒスパニック系のマルコ・ルビオ(上院、フロリダ)といった顔ぶれがそうであり、おそらくこうしたグループの中で予備選が戦われることになると思います。

 仮にこうした新世代が相手ですと、これはヒラリーにとっては決して楽ではないと思います。共和党の新世代は、ヒラリーに対して「90年代から医療保険改革を主張するなど極端に大きな政府論」だったという攻撃と、「9・11からイラク戦争に至る戦争の時代の責任世代」だという攻撃を行うことが可能だからです。

 例えば、エドワード・スノーデンが暴露したNSA(米国家安全保障局)のネット盗聴、あるいは世界的に批判されている無人機でのテロリスト殺害作戦などといった問題について、「ヒラリーは責任のある側」だという攻撃がされる、そしてヒラリーは防戦に回るという展開も予想されます。更に「ビンラディンの一方的な殺害」などについても、直接の責任者だと言われるでしょう。

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