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法人税を減税して賃上げを求める珍妙な税制改正 - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2013年9月24日 19時29分

 しかし経済学者は、こうした呼びかけに冷淡だ。企業の利益に法人税をかけた上に、税引き後の利益からの配当に所得税をかけるのは二重課税だからである。また同じ資金を調達しても、銀行から借りると金利は経費として利益から控除されるのに、配当には課税されるのは非対称であり、企業の過剰債務の原因になっている。

 法人税を下げるのは、こうした国際的な租税競争に対応するためであって、賃上げのためではない。日本は法人税だけではなく、雇用規制などの「六重苦」で立地コストが高いため、最新鋭の工場は日本から撤退してアジアに建てる負の退出効果が発生する。このために投資が減るのが「デフレ」の原因である。

 日本の成長率を上げるには、規制改革でこうした悪条件をなくし、企業が日本に投資できる環境をつくることが重要だ。法人税の減税はこうしたグローバル競争の一環であり、政府が賃上げを強要するのは見当違いである。不公平をなくすには、膨大な租税特別措置をなくし、課税ベースを広げるべきだ。

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