メジャー日本人選手への応援スタイル、そろそろ修正の時期では? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2013年10月3日 13時31分
どうしてこうなったのでしょうか? もしかすると日本人が「内向き」になったからなのでしょうか? 私は違うと思います。そうではなくて、日本におけるメジャーリーグの「経済効果」が細っていることが原因ではないか、私はそう見ています。
イチロー選手や松井秀喜氏が颯爽とアメリカに乗り込んだ2000年代の前半とは違って、現在は日本国内におけるMLBの試合中継は衛星放送に限られています。そんな中で、試合中継が大きな経済効果を生むということはなくなりました。結果的にメジャーの日本での経済効果というと、短時間のスポーツニュースのコンテンツであるか、あるいは有名選手のCFキャラとしての効果が主となっています。
その結果として、年間162試合あるチームを応援し続けるというような「楽しみ方」を提供することはできなくなっているのです。スポーツニュースでの取り上げ方も、個人別の「その日のトピック」がせいぜいで、毎日15試合の結果や30球団の動向を一々報道することはコスト的にも時間的にもムリなのです。個人にフォーカスした取り上げ方しかできない背景には、そんな構造があるのです。
そうした構造を考えると、メディアのことを単純に批判もできません。そうではあるのですが、アスリートの「優勝への思い」を応援できない中で、個人記録の話題だけが辛うじて伝わるような現状は、選手本人の思いや情熱と余りに乖離が激しいように思います。こうしたことを続けていては、MLBというコンテンツそのものの魅力がなくなる、そんな懸念も感じます。そろそろ修正の時期ではないでしょうか。
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