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「革命家」が息を吹き返す? - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り

ニューズウィーク日本版 / 2013年10月21日 20時14分

 この習仲勲生誕100年記念は、偶然とはいえ「うまいタイミングだ」という評論家もいる。9月末にライバル薄煕来裁判の判決が下り、11月には習近平の経済政策に注目が集まる第3回中央委員会全体会議(三中全会)が行われる。そして12月には毛沢東の生誕120周年記念なのだ。習近平がいかに、そしてどこまで改革、開放を進めるかに注目が集まっているこの時に、10月15日のこの日を利用して父親の「先駆性」を喧伝、イメージ付けるのはぴったりだった。

 一部にはこれを機会に習近平は「毛沢東の『孫』よりも習仲勲の息子であること」を印象づけたいのだ、という声もある。だがこれは下手をすると、中国共産党の開祖毛沢東と現主席の父の地位を取り違えてしまうことにもなり、とても危険な気がする。だが、実際にはこの「毛と習」の関係がモデレートに処理され、毛を否定しなかったために、共産党に熱狂的な忠誠を誓う「毛派」をそれほど大きく怒らせることはないだろう、という見方もある(まぁ、その中には「毛派」はただの投機家だから自分たちの利益が確保されればいいんだよ、という意見もあるのだが)。

 一方では習の目的は別のところにあるという説もある。というのも、生誕式典にはトウ小平、劉少奇(元国家主席)、胡耀邦(元共産党総書記)、彭真(元全国人民代表大会常務委員長)、王震(元国家副主席)、楊尚昆(元国家主席)、陳雲(元国務院副総理)、李維漢(元国務院秘書長)らの子女、つまり「太子党」が集まった。習の目的ははこの「太子党」たちとの協力関係を新たに築くものだったのではないか、というのだ。

 習はこの新たな協力関係を築くことによって、鄧小平以降、つまり江沢民や胡錦濤らによる政治操作を離脱、「紅二代」と呼ばれる二代目共産党員による政治を確立しようとしているという。つまり、建国に関わったわけでもない江や胡よりも革命純血種の「紅い二代目」たちこそが政権運営にふさわしい、という考え方が今後明らかになっていく可能性があるという声がある。

 ならば、革命純血種の末裔たちは何を起こそうとしているのか。習と薄煕来のように相容れない間で闘争が起こるのか、それとも政治だけではなくビジネスの世界まで手を広げた末裔たちで手を組み、新たな政治システムを作ろうというのか。

 巷の分析はまちまちでまだよくわからない。ただ、言えるのは少なくとも政治はますます庶民の手の届かない方向へと遠ざかっていくのではないか、という予感だ。

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