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ヨーロッパの「ロマ差別問題」に鈍感なアメリカ - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2013年10月24日 14時35分

 また、ユダヤ系やアルメニア系と異なり、ロマの人々はヨーロッパで迫害を受けても、まとまったグループとしてアメリカに移民してきていないという事実もあると思います。結果として、ホロコーストと同じようにナチスの迫害を受けたにも関わらず、アメリカではロマの人々の歴史や状況に関しての関心は、現状としては薄いのです。

 本稿を書いている途中で、新しいニュースが入ってきました。ギリシャの別のロマ居住区で「マリア」とは別の保護された少女を調べたところ、DNA検査の結果、先ほど述べたアイルランドの夫婦の子供だということが判明したそうです。これによって、改めて「マリア」が西欧もしくはアメリカから誘拐された可能性が高まった、そのような報道が始まっています。

 本当に国際的なトラフィッキングが行われ、それにロマの人々が積極的に関与しているのであれば、厳しい捜査がされるべきでしょう。ですがその一方で、ヨーロッパ全土で差別を受けているロマの人々に対して、単に定住を促進するだけでなく、貧困と教育の対策をEU全体あるいは国連として取り組むべきと思います。今回の一連の事件を、単なる「ロマ断罪」に終わらせてはいけないと思います。

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