日米地位協定の改定論議、「基地の環境問題」とケネディ家の意外な関係とは? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2013年12月19日 13時31分

 在日米軍および軍人・軍属に関する法的地位を定めた「日米地位協定」に関しては、米兵が刑事事件を起こした場合の日本側への引き渡しに制限がある点が問題になっています。ですが、この問題に関しては、取り調べプロセスの可視化、特に弁護人の同席が認められていない日本の刑事司法制度に自国民を引き渡すことへの米軍組織としての強い抵抗感があり、日本側の制度改革がなければ交渉自体が困難というのが実情です。

 取り調べプロセスの可視化の問題は刑事司法の根幹に関わる問題ですから、地位協定問題を理由に「外圧に屈した」格好で制度改正を行うというのは、国家の独立性を揺るがせてしまいます。そう考えると、この可視化問題については日本の司法改革の一環として進むのを待つしかないわけです。この点から改定論議を進めるというのは現時点では非現実的です。

 ですが、現在、沖縄県の仲井眞知事が提起しているのは別の問題です。今回の改定論議は、「環境条項」を新設するというのが中心で、返還が予定される米軍基地の敷地に関して、返還前のタイミングでの環境調査(アセスメント)や浄化措置(クリーンアップ)を行うためのルール作りをしようというものです。

 この問題ですが、同じ改定論議と言っても、犯罪容疑者の引き渡しに関わる議論とは性質が違います。アメリカの国務省は「協定改定の必要性は認めない。当面は運用で対応する」と言っていますが、これは「とりあえずのリアクション」であって、いずれは真剣な外交交渉へと進むのではないかと思われます。

 まず、この改定論議が直接的に意味するのは「普天間基地の返還」です。本当に普天間を返還するのであれば、基地跡地の環境浄化は必須です。ですが、その浄化にかかるコストを全て日本側が負担するというのは、沖縄の世論としても、日本全体の世論としても納得感は薄いと思われます。また、返還の準備作業の一環として、事前に日本側が調査をするというのも必要な措置です。

 こうした問題は、米国務省の言うような「運用で対応」というレベルを超えていると思います。地位協定に「環境条項」を入れて、双方がキチンとした合意に基づいて作業と費用の分担を行うということは何としても必要であると思います。



 アメリカ側から見ていますと、基地返還後の環境汚染問題ということでは、プエルトリコのビエケス島にあった海軍射撃場のケースが思い起こされます。ビエケス島というのは、プエルトリコ本島の東10キロちょっとの沖合にある島ですが、長い間、米海軍が様々な種類の砲弾を着弾させる射撃場として使用していました。

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