米SAT改訂とアメリカの受験戦争 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2014年3月13日 13時6分
日本の場合は、面接の導入などを通じて「高校生に抽象概念の操作能力」への関心を向けるようなメッセージ発信が模索されています。私は、それは方向性としては間違っていないと思います。
そうではあるのですが、日本の入試制度の最大の問題は、受験勉強が易しすぎるということだと思います。理数系ではカリキュラムの上限が低すぎます。レベルの低い範囲内で考案されたパズルのような難問奇問が出題されたり、作業が正確であることが過剰に重視されています。
更に受験の際に理科が2科目で良いというのも大問題で、「物理2+化学2+生物2」の3科目を統一テストなどで評価するようにして、真剣に3つとも高校時代に履修させれば、多くの学科で大学教育の効率は良くなると思うのです。文系で数学が軽視されているとか、統計学が無視されている点に至っては、教育制度の欠陥としか言いようがありません。
日本でアメリカの受験制度を参考にする動きがあるようですが、その本質をよく理解した上で検討していただきたいと思うのです。表層だけマネするようなことがあっては、日本の制度の長所が失われるだけで制度全体が崩壊する危険があると深く憂慮しています。
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