消えたわけではない「ジャンボ・ジェット」 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2014年4月10日 12時48分
70年代にデビューしたボーイング747型機は、世界に「空の大量輸送時代」をもたらし、それこそ「格安航空券」を実現させた歴史的な機材です。そのジャンボが3月末、全日空の国内線での運用から引退して、日本の全ての旅客航空会社から姿を消してしまいました。
この引退劇に関してですが「エンジン4基の巨大機」なので燃料効率が悪いとか、「老朽化が進んだ」などというイメージで語られる一方で、関係者にしても、乗客にしても「一世を風靡した機材の引退」ということで多少感傷的になっている、そんな報道が多かったようです。では、世界的に見てこのジャンボという機材は過去のものになりつつあるのでしょうか?
実は、今回退役したのはジャンボの中での「第四世代」に当たる「747−400」という型です。「ダッシュ400」とか「ハイテクジャンボ」、「メガトップ」などと色々な愛称で呼ばれたこの世代は、シリーズ中の最高のヒット作となり、全部で600機以上が製造されています。
個人的にはこの「ダッシュ400」というのは自分がアメリカと日本を往復し始めた頃には、各社の主力機でしたから感慨の深いものがあります。例えば今は無くなってしまったユナイテッド航空の「UA800/801」という、成田=JFKの直行便などは良く利用したのを覚えていますし、90年台初頭の当時はこのエンジン4発を積んだ「ダッシュ400」が世界で最も先進的な旅客機でした。
その「ダッシュ400」は確かに燃料効率が問題とされて、アッという間に同じボーイングでもエンジン2発の「777」に市場を奪われる一方で、超巨大機というカテゴリでは、エアバスA380の登場で影が薄くなっていたのも事実です。
では、世界的に見て「747」は完全に過去の存在になっているのでしょうか?
何となく、今回の「退役報道」を見ていますとそんなイメージがしますが、実は違うのです。
このボーイング747には、最新の技術を導入して、777やA380と同等の燃料効率を実現した「747−8(ダッシュ8)」という最新モデルが存在します。既に開発は完了しており、2011年には貨物型が、2012年には旅客機型も就航が始まっているのです。
この「ダッシュ8」ですが、イメージ的には747と787をミックスしたような印象で、主翼が大きくカーブしている様子は787に似たイメージです。ですから、「ダッシュ400」の特徴であった主翼端に上向きに取り付けられた気流整流用の「ウイングレット」はありません。また、非常に長い機材となっており、長さはA380を上回って現在世界では最も長い旅客機となっています。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
DHL Express、航空輸送能力を増強し、2024年のピークシーズンに向けて地上ネットワークを整備
PR TIMES / 2024年9月20日 17時15分
-
ちょっと異例!?「最小のエアバス」一体何がいいのか? 米でも大人気なのは“異色の経歴”ゆえ?
乗りものニュース / 2024年9月20日 7時42分
-
【キャセイ】日本就航65周年を記念し、新ビジネスクラスが体験できる「空のスイートルームへ、ようこそ」を開催中
PR TIMES / 2024年9月13日 18時45分
-
「発狂しそう」なレベルの「激レアすぎる光景」中部空港に出現! 異形&超激レア機3機並び…その圧巻の全貌
乗りものニュース / 2024年9月11日 7時42分
-
ANAから「日本一わかりにくいかもしれない特別外装機」登場…なぜ? 今後は「世界初」の展開も
乗りものニュース / 2024年9月3日 11時12分
ランキング
-
1中国の危険情報レベルゼロ、環太平洋先進国で日本のみ 米はレベル3「拘束の危険が存在」
産経ニュース / 2024年9月24日 15時28分
-
2「日本人を殺すのは規律」四川省地方政府幹部がヘイト発言 中国・深圳の日本人男児刺殺、主張する「『仇日教育ない』は真っ赤なウソ」
zakzak by夕刊フジ / 2024年9月24日 11時35分
-
3「我々の規律は日本人を殺すこと」中国の地方政府幹部がSNS上に書き込みか
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月24日 4時7分
-
4スウェーデン「500万円あげるから帰って」と移民の自主出国促す 北欧の寛容が様変わり
産経ニュース / 2024年9月24日 11時7分
-
5レバノン首都ベイルートに「標的を定めた攻撃を実施」イスラエル軍が発表 ヒズボラ司令官を狙った空爆か
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月24日 16時28分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください