インドと日本を結ぶ意外な友情
ニューズウィーク日本版 / 2014年4月18日 12時12分
ここ数年は、両国の要人が互いの国を訪問している。安倍は野党時代の11年にもニューデリーを訪れてシンと会談を行っている。昨年は日本の天皇皇后両陛下が53年ぶりとなるインドへの歴史的訪問を果たした。
1月に首都ニューデリーで開かれたインド共和国記念日の祝賀式典にも、安倍は主賓として招かれ出席している。モディの次期首相就任が濃厚になるなか、安倍は今後インドをさらに優遇する可能性が高い。
インドもその厚遇に応えるだろう。日中関係が領土・領海や北朝鮮などの問題をめぐって悪化の一途をたどるなか、「モディ首相」率いるインドは中国政府をさらにいら立たせる行動を取る可能性が大いにある。インドは今年、マラバル沖で実施する米印海軍合同演習に日本の自衛隊を招待している。また日本から軍用機を調達する意向とも伝えられる。
インドも中国との間に領土紛争を抱えているが、モディは中国を拒絶しているわけではない。実際、彼は11年に中国を訪れ、国家元首並みの歓待を受けている。当時モディは中国に対し、グジャラート州への投資を呼び掛けた。ちょうど日本に投資を求めたのと同じように。
だが投資誘致のアピールを行う一方で、モディは中国の拡張主義的な政策には明確な反対を表明している。英フィナンシャル・タイムズ紙によれば、モディは最近、北東部アルナチャルプラデシュ州で行った選挙演説で、中国に対して「拡張主義的な態度」を慎むべきだと警告している(中国は隣接する同州を自国の領土と主張し、「南チベット」と呼んでいる)。
第3のパートナーも必要
国際戦略研究所(IISS)の地政学的経済学・戦略部門ディレクターで、ニューデリーの政策研究センターの名誉研究員でもあるサンジャヤ・バルーは、インディアン・エクスプレス紙への寄稿で、もしもモディが首相に選出されれば「国民の士気を高めるため」に安倍同様の民族主義的な外交政策を取るだろうと書いている。
「国内経済への投資と海外での戦略的インフラ投資を組み合わせる安倍のやり方を、モディは高く評価している」と、バルーは指摘している。「彼は瀕死のインド経済の活性化に重点を置いている。不景気が続く日本で安倍が権力の座に就いたやり方とまさに同じだ」
安倍とインド次期首相と目されるモディの両者に必要なのは、今後、中国に対抗していくためのアジアにおける「第3のパートナー」かもしれない。インドの著名な政治アナリストであるジャスワント・シンは、インドと日本、韓国の3国が安全保障面で協力して、中国に対抗する3本柱を構成することを提案している。
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