日本経済の競争力回復のために「労働時間規制」は強化するべき - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2014年5月8日 11時28分
1990年以降の日本経済は、こうした「非効率な仕事のやり方」を変えることなく、グローバル化に対応し、コンプライアンスという名のもとに形式主義を強化し、そのくせ要員は削減してきたわけです。OA化も二度手間ばかりで、本当の業務効率は向上していません。多くの職場で長時間労働が恒常化しているのはこのためです。今こそ、仕事のやり方を見直す時期です。
1993年にサムスンの李健熙(イ・ゴンヒ)会長は「新経営方針」を打ち出し、以降の同社は世界のエレクトロニクス産業における頂点に上り詰めるわけですが、その方針を受けたソウルの本社では「就業時間は午後4時まで」として「以降残って残業しているものは無能」だとして徹底的に生産性を要求していたことが思い起こされます。
また現在、アメリカで上場申請されて大きな話題になっている中国のアリババ・グループ(正確には持ち株会社の上場申請)は、巨大な中国の中小企業群に対して「小回りの利く "B to B" のウェブ通販サービス」を提供して巨大化すると共に、中国の中小企業群の生産性向上に大変な貢献をしています。ですが、日本の場合は、今でも "B to B" では対面型販売が主流であるわけです。これでは、社会全体の競争力は勝負になりません。
とにかく現在の日本経済は「仕事のやり方」という意味で世界から周回遅れになっています。ここで「イノベーション」ができるかどうかが、これからの日本経済が生き残っていけるかどうかの瀬戸際だと思います。そのためにも、労働時間規制は強化するべきであり、緩和は論外だと考えます。
この記事に関連するニュース
-
「良い先生」像の呪縛、学校の「前例踏襲」風土…。働き方改革が進まない教員側の要因
オールアバウト / 2024年11月22日 21時15分
-
絶対おかしい! 授業準備、テストの採点に「残業代が出ない」のはなぜ? 教員の“時間外労働”謎ルール
オールアバウト / 2024年11月12日 21時50分
-
東大生が「子供のゲームを禁止する親は頭が悪い」と考える理由
日刊SPA! / 2024年11月3日 15時53分
-
日本復活に「経済政策」は不要どころか、逆効果だ 石破政権が今本当にやるべきこととは何なのか
東洋経済オンライン / 2024年11月2日 8時30分
-
管理職になって労働時間は激増。それなのに年収はあまり変わりません。いま40代で年収600万ですが他の会社の管理職の年収と残業時間はどれくらいなのか気になります…
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月27日 0時0分
ランキング
-
1紛争地の人道支援で死者281人 過去最悪、ガザ被害中心
共同通信 / 2024年11月23日 7時40分
-
2中国、持論を曲げ対日ビザ免除再開 景気低迷やトランプ氏再登板が影響か 日本側は驚き
産経ニュース / 2024年11月22日 19時44分
-
3「イスラエル首相に逮捕状」で分かれる各国の反応 米国は反発も、トランプ氏の対応に注目
産経ニュース / 2024年11月22日 20時59分
-
4ロシア派遣の北朝鮮兵、「間もなく」ウクライナ侵攻に参戦 米国防長官
AFPBB News / 2024年11月23日 11時32分
-
5共産主義時代の政治犯刑務所 忌まわしい記憶を「遺産」に ルーマニア
AFPBB News / 2024年11月22日 19時51分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください