『ハウス・オブ・カード』が変えるドラマの法則
ニューズウィーク日本版 / 2014年8月8日 12時8分
主人公がピンチに陥ったところで「続きは来週」──そんなテレビドラマのパターンはもう古い。最近は、1シーズン全話または複数のエピソードをいっぺんに視聴する、いわゆる「イッキ見」が人気だ。
イッキ見ブームを後押ししているのが、過去のさまざまなドラマを全シーズンそろえる世界最大のストリーミング型動画配信業者ネットフリックスだ。
何しろネット配信だから、クリック1つで見たいドラマの見たいエピソードをいつでも楽しめる。そんな新しい視聴方法を広める起爆剤として、同社が13年に打ち出したのが独自制作のドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』だ(日本ではシーズン1のDVD・ブルーレイがソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより発売中)。
90年代にイギリスでヒットした政治ドラマ『野望の階段』のリメーク版で、脚本はボー・ウィリモン(『スーパー・チューズデー〜正義を売った日〜』)、制作総指揮に映画監督のデービッド・フィンチャー(『ドラゴン・タトゥーの女』)、主役にケビン・スペイシー(『アメリカン・ビューティー』)という豪華な顔触れ。さらにネットフリックスは、このシーズン1(全13話)を一挙に配信して話題を呼んだ。
物語の舞台はワシントン。主人公のフランク・アンダーウッド(スペイシー)は、サウスカロライナ州選出の下院院内総務だが、国務長官に任命するという約束を大統領にほごにされてしまう。
復讐に燃えるアンダーウッドは、若い女性記者ゾーイ・バーンズ(ケイト・マーラ)と協力関係を築く。機密情報へのアクセスを彼女に与える代わりに、邪魔な人間の醜聞をリークする。「2人はとても親密な関係になる。精神的にだけではなくね」と、マーラは言う。
アンダーウッドとバーンズの関係はありきたりのものではなく、力関係もしょっちゅう逆転する。「職場とか政界だけの話ではない。家庭や寝室、恋人同士、友人同士の政治の話でもある」と、マーラは言う。
人間の非合理的な部分を利用して操る
冷酷な策士のアンダーウッドは、誰も信用していない。なかでも用心しなくてはいけないのは、自分に一番近い人間だ。テレビの仕事が初めてのフィンチャーは、そんな主人公に興味をそそられた。「主人公が議会の廊下を歩きながら視聴者に向かって語り掛け、政治の世界で日常的に行われているありふれた不正から、高度なペテンまでを解説する設定がとても面白いと思った」と、フィンチャーは語る。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
水川あさみ「笑うマトリョーシカ」新聞記者役で主演 若き人気政治家に櫻井翔、秘書に玉山鉄二
日刊スポーツ / 2024年5月3日 4時0分
-
「意外とグロッ」「地上波は無理」 過激さも話題の「配信限定」マンガ実写化ドラマ
マグミクス / 2024年5月2日 21時25分
-
『アンチヒーロー』主人公の“敗北展開”にネット衝撃「まさか」「これは予想できん」
ORICON NEWS / 2024年4月28日 21時52分
-
『アンチヒーロー』第3話 新たなる裁判 政治家の息子の暴力事件
ORICON NEWS / 2024年4月28日 9時0分
-
日曜劇場『アンチヒーロー』は議論必至 飯田和孝P「視聴者の予想よりもダークな主人公に…」
ORICON NEWS / 2024年4月12日 17時0分
ランキング
-
1《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン / 2024年5月10日 17時50分
-
2おばたのお兄さん「めちゃくちゃ不仲で解散」“元相方”の人気芸人明かす「びっくり」「知らなかった」と反響
モデルプレス / 2024年5月10日 16時18分
-
3「入浴中、弟・竜聖アナの頭に…」“無痛おねだり”で炎上の生田斗真、次々と発掘される“ヤバ”エピソード
週刊女性PRIME / 2024年5月10日 19時30分
-
4【こんな人】小山内美江子さん「金八先生」降板はテレビ局との意見相違 教育への思い本物だった
日刊スポーツ / 2024年5月10日 20時11分
-
5「みんなで手をあげるやつ、今日はやめましょうか」星野源の“提言”にSNS上で賛否が分かれるワケ
日刊SPA! / 2024年5月10日 8時50分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください