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消費税の増税先送りで増幅される「政治的な景気循環」 - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2014年11月12日 18時57分

 急に解散・総選挙のムードが強まってきた。前の総選挙から2年しかたっていないが、解散があるので、衆議院議員の平均在職年数は2年9ヶ月だ。2年過ぎたら、解散してもいいとされる。衆議院の任期は2016年末まであるが、歴史的には任期ぎりぎりで追い込まれて解散すると、自民党が負けることが多い。2009年の麻生内閣がそのパターンで、「解散の時期を逸した」と批判を浴びた。

 総選挙での自民党の得票率は、経験的には解散したときの内閣支持率にほぼ比例する。安倍内閣の支持率は落ちてきたが、まだ40%台と高く、2005年の郵政解散のときの小泉内閣に近い。いま解散・総選挙をしても2012年の294議席には及ばないと予想されているが、野党は選挙協力ができていないので、やるなら今のうちだ。

 来年9月の自民党総裁選挙で再選を果たすのが安倍首相の目的なので、それまでに党内で「安倍おろし」が出るような事態は避けたいところだろう。来年4月の統一地方選挙と同時という説もあるが、これから支持率の上がる材料はない。むしろ原発の再稼動など、下がる材料が多い。アベノミクスの偽薬効果が残っているうちに解散するのは、政治的には悪くない。

 しかし増税の予定は、来年10月である。いま延期しても、実体経済に何も影響はない。景気が悪くなった原因はエネルギー価格の上昇や人手不足による供給制約だから、増税延期で需要を増やしても意味がない。「今は増税の時期ではない」というが、1年半先送りして2017年4月にしても景気がよくなっている保証はない。IMF(国際通貨基金)の見通しでは、2015年の日本の成長率は0.8%と、今年の0.9%より低くなる。

 安倍首相は「税率を上げて税収が減ったら元も子もない」というが、1997年の消費増税のあと税収が減ったのは、所得減税をしたからだ。「増税しないでインフレにしたら名目成長率が上がって財政収支が黒字になる」という楽観論もあるが、増税しないで財政を黒字化するには、5%以上の名目成長率が必要だ。人口の減少する日本経済では、先送りするほど一人当りの負担は重くなる。

 10月に行なわれた日銀の追加緩和で金融政策の弾は撃ち尽くし、それに加えて禁じ手の増税延期までやると、来年さらに景気が落ち込んだとき、もう打つ手がない。来年10月に増税する場合には7~9月期に駆け込み需要が出るが、延期するとそれもなくなる。つまり来年9月の総裁選のときには、大不況の最中になっている可能性があるのだ。

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