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残忍ISISの支配の実態は

ニューズウィーク日本版 / 2015年1月29日 14時59分

 昨年7月のシリア人権ネットワークの報告によれば、シリア政府軍は少なくとも10万9347人の民間人を殺害している。うち1万5149人が子供、1万3695人が女性だ。拷問による死者は4892人に上る。

 イラク政府も同じくらいひどい。人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは9月に、イラク治安部隊による「スンニ派収監者の大量処刑、拉致、裁判なしの処刑」を告発している。こうした事態が直ちに改善されるとも思えない。何しろイラク軍の再建は「アメリカが10年と250億ドルを費やしても実現できなかった」難事業だと、中東情勢アナリストのフィラス・アビ・アリは言う。

 イラクではシーア派民兵も幅を利かせており、宗派対立は深まるばかり。欧米の期待するクルド系民兵組織ペシュメルガも人権侵害のそしりを免れない。

 仮にISISが撤退したら、どんな状況になるのだろうと、支配下の住民たちは思いを巡らせていることだろう。だが今のところ、魅力的な選択肢はないに等しい。

[2015.2. 3号掲載]
サイモン・スピークマン・コーダル


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