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日銀が無限に国債を買えば「無税国家」ができるのか - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2015年3月5日 16時13分

 インフレなしで景気をよくする方法は、バラマキ財政しかない。政府が補正予算で10兆円ばらまけば、国民所得統計には10兆円が計上されるので、GDPは確実に2%増える。それがこれまでアベノミクスで景気が上向いてきた最大の原因である。原田氏を起用した安倍政権は、金融政策から財政政策に舵を切ったとみることもできる。

 政府が財政再建を放棄し、日銀がその国債を買い支える財政ファイナンスは、危険な賭けだ。さすがに黒田総裁は危険を感じているようだが、原田氏は「日銀は政府の一部だから政府はいくら国債を発行しても大丈夫だ」という。彼の論理によれば、政府の負債は日銀の資産と相殺されるので、税金を廃止してすべて国債で調達すれば、無税国家ができる。

 これなら財政再建目標も必要ないが、問題はそんなフリー・ランチがあるのかということだ。日銀が国債を無限に買い続けると、どこかで国債が暴落して金利が上昇する。そのとき「金融緩和を縮小すれば暴落は防げる」と彼はいうが、そんなコントロールが可能なら、金融危機は起こらない。リーマン・ショックも、FRB(米連邦準備制度理事会)が止めることができたはずだ。

 安倍首相も原田氏も政府が経済を完全にコントロールできると信じているが、黒田総裁はそう信じていないようにみえる。このように政府と中央銀行の考え方が食い違うのは、危険な兆候である。

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