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映画『東北記録映画三部作』に見る地方の可能性 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2015年4月16日 12時3分

 小野和子氏は講演の中で、自分は東北にとっては「よそ者」であるが(出身は岐阜県)、民俗学というのは「ハートは対象に寄り添い」ながらも「視点は他者の冷静さ」を維持することで見えてくるものがある、それを自分のスタイルとしていると言っていました。これは、地方のコミュニティにおける「他者との出会い」すべてに一般化できるものだと思います。

 さらに言えば、一見すると巨大な人口を集めて繁栄しているように見える東京も、潜在的には「独居高齢者」の人口爆発という「時限爆弾」を抱えているわけで、この問題は単に福祉のコスト高というだけでなく、「人が孤立することで、語りや出会いの場が喪われる」というコミュニティの危機でもあるのです。

 そう考えると、この「東北三部作」の提起する問題は、単に東日本大震災からの復興や、東北という一地方の問題であるだけでなく、日本というコミュニティをどう再生していくかという大きな問題提起になっているわけです。今後も日本各地で、また世界で上映が続くと思います。是非、ご覧になることをお薦めします。

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