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日本経済の真の課題 前半

ニューズウィーク日本版 / 2015年7月21日 19時0分

 投資については、先に買っておこう、ということがあり得る。だから、日本の株価は急騰したのだ。これまで、悲観論に基づいて安すぎた株価が修整された。これは、皆が買うなら上がる、上がるなら買っておこうと、皆が思って買ったために、実際にも上昇し、買ったことが事後的に正しくなり、つまり、期待が自己実現したのである。これが逆になれば、皆が売るだろう、だから下がる前に売っておこう、売るから下がる、やっぱり下がった、全部売らなければ、というスパイラル的な下落となる。これがバブルとその崩壊の過程であり、デフレスパイラルは存在しないが、資産の暴落スパイラルは存在するのである。

 したがって、いわゆるアベノミクスの最大の功績は、資産市場における過度の悲観論を払拭したことであり、安倍首相のデフレ脱却、というのを悲観脱却と、デフレマインド脱却を、デプレッション(鬱)マインド脱却と言い換えれば、現実に適合する。

 だから、デフレが日本の真の問題ではないのである。では、本当の問題は何か──最終回に続く(小幡績・慶應義塾大学ビジネススクール准教授)

*最終回は7月27日に掲載の予定です

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