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ネットフリックス日本進出の成否、米メディアはこう見る

ニューズウィーク日本版 / 2015年8月18日 16時0分

 米大手動画配信サービスのネットフリックスは今年2月、日本向けサービスを今秋立ち上げると発表し、今月4日には9月2日に開始することを明らかにした。

 これまでに「デアデビル」「マルコ・ポーロ」などオリジナルドラマの配信をはじめ、フジテレビとの提携による同局オリジナルコンテンツ「テラスハウス」新シリーズなどの独占先行配信、4Kコンテンツの配信、パナソニックと東芝によるネットフリックス対応テレビ発売など、期待をあおるニュースがあふれる一方で、月額視聴料がいくらになるのかといった肝心の情報が示されていない。

 定額制ビデオオンデマンド(SVOD)ではネットフリックスに先立ち、米Hulu(フールー)が2011年に日本で映画などの動画が見放題のサービスを月額1480円でスタート。価格設定を誤ったとの判断からか、1年を待たずに月額980円に値下げしたが、結局2014年に日本向けサービスを日本テレビに売却した。

 こうした先例により参入の難しさが浮き彫りになった市場に、満を持してサービスインするネットフリックスの挑戦を、米メディアはどう見ているのか。

 フィアースオンラインビデオの編集者、サマンサ・ブックマンは8月5日の記事で、「ネットフリックスは日本で成功する可能性が高い」と予想。

 その理由として、同社が先述のHuluの失敗から学び、価格を当初のHuluよりも「アグレッシブに」(安く)設定すること、日本語コンテンツに力を入れること、消費者文化の異なる日本市場に長期戦の構えで取り組みブランドの浸透を図ることなどを挙げている。

 他方、アジアの映画産業に明るいロブ・ケインは米フォーブス誌サイトに寄稿した記事で、今月4日の発表を受けネットフリックスの株価が8%上昇し過去最高値を記録したことは「過剰反応であり、過大評価だ」と断言している。

 日本の視聴者は一般に外国のテレビ番組への関心が薄いので、ネットフリックスが巨費を投じてきた英語のオリジナル番組は受けないだろうし、同社が配信権を買う日本語コンテンツは他地域で使えないと指摘。さらに、日本における2014年の映画興行収入トップ20の大半が邦画で、米国の映画はわずか5本、そのうち現在ネットフリックスでストリーミング視聴が可能なのは『トランスフォーマー ロストエイジ』の1本しかないことも、市場の難しさを示すものだとして、同社の日本進出に悲観的だ。




 筆者は米国で過去数回、長期出張の際にネットフリックスを利用しており、その手軽さ(一度アカウントを作ると、帰国の際に休止、次に渡米した時に再開といった手続きも容易で、休止中はもちろん課金されない)や、洋画の充実ぶりが気に入っている。

 ドラマの視聴では、エピソードが終了して数秒すると自動的に次のエピソードが始まるのも、派手さはないが便利だと思う。個人的には、日本でもサービスが定着して選択肢が広がるといいなと期待しているが、さてどうなるか。


[執筆者] 高森郁哉
米国遊学と海外出張の経験から英日翻訳者に。ITニュースサイトでのコラム執筆を機にライター業も。主な関心対象は映画、音楽、環境、エネルギー。

高森郁哉(翻訳者、ライター)

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