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ハッカーに襲われた不倫サイトの顧客被害どこまで?

ニューズウィーク日本版 / 2015年8月20日 18時0分

「人生は短い、不倫をしよう」のスローガンで知られる不倫サイト「アシュレイ・マディソン」(利用者3700万人)。先月このサイトから顧客データを盗んだハッカー集団は火曜深夜、盗んだデータを闇のウェブサイトで公開したようだ。

 公開された情報には、利用者の名前、メールアドレスとクレジットカード情報などが含まれ、情報量は9.7ギガバイトにのぼるという。反体制活動家や犯罪者が素性や通信の痕跡を消すために使う「ダークウェブ」上で公開されたため、流出データにアクセスするには「トーア」という特殊なブラウザを使わなければならないと、ワイアード誌は報じている。

 ハッキングを行ったのは、「インパクトチーム」と名乗るハッカー集団。彼らは先月、ネット上に犯行声明を出し、盗んだデータの一部を公開した。アシュレイ・マディソンと出会い系サイト「エスタブリッシュト・メン」を運営するカナダ・トロントのネット企業アビッド・ライフ・メディア(ALM)に対し、この2サイトの閉鎖を要求。さもなければ、残りのデータもすべて公開すると脅していた。

 インパクトチームは今回のデータ暴露にあたって、ネット上に次のような声明を出した。「ALMはアシュレイ・マディソンとエスタブリッシュト・メンを閉鎖しなかった。われわれはALMとその利用者たちのペテンと欺瞞と愚かしさを指摘してきた。今こそその実態が白日の下に晒される」

 データ暴露で、何百万人もの北米とヨーロッパの利用者が不幸に襲われかねない。登録会員の大多数はアメリカ人とカナダ人だが、スペインに130万人、イギリスに110万人、フランス、イタリア、ドイツにはそれぞれ6万~7万人の利用者がいると、アシュレイ・マディソンのノエル・ビーダーマンCEOはハッキング事件以前の4月に本誌に語っていた。

 そのうち何割程度のデータが盗まれたのか、アシュレイ・マディソンはまだ調査中としか回答していない。

 だが欧州警察機関(ユーロポール)のサイバー犯罪顧問を務めるサレー大学のアラン・ウッドワード教授によると、利用者全員のデータが暴露されたとみられる。「データベースをまるごと公開したようだ。あらゆる点からみて、公開されたデータは本物と見ていい」

自由思想の侵害、とサイト側は憤るが

 ただし、サイトの性質上、利用者の多くは偽名で登録していると思われるため、恥をさらすことになる心配は少ないだろうと、ウッドワードは付け加える。

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