今こそ持続可能なグローバルビジネスを
ニューズウィーク日本版 / 2015年8月28日 19時22分
国際市場における競争は史上類を見ないレベルにまで達しており、将来的にもさらに激化することだろう。これは手垢のついた表現に見えるかもしれないが、紛れもない真実だ。
競争が激化している根拠は四つある。一つめは、成長を求める多国籍企業が、新興市場にさらに注力するようになってきていることだ。
第2に、新興国に本拠を置く多国籍企業の動きがかつてないほど活発になっている。中国やインド、ブラジル、トルコ、南アフリカなどの多数の企業が海外に進出している。
三つめの根拠は、中規模の欧米企業も、これまで進出していなかったような他国の市場に進出しているということ。そして四つめには、単純なことだが、ほとんどの海外市場で地元の競合企業がますます力をつけていてきていることが挙げられる。
こうした状況のなかでグローバルな成長を本気でめざすのであれば、以下の質問を自らに問いかけてみるといい。
・自社の国際ビジネスは、持続可能なやり方で構築できているか?
・自社の仕組みは、それぞれの市場での競争において優位に立てるものか?
・それぞれの市場で激化しつつある競争にどれだけ耐えうるか? あらゆるタイプの競合企業に対する障壁を築いているか?
・現地の事情に適合しているか?
・今後数十年にわたり収益を上げつづける持続可能なビジネスを生み出すために、すぐに埋めなければならないギャップは何か?
新興市場のスローダウンは根本的な問題ではない
日和見主義で場当たり的なアプローチをする企業があまりにも多い。その根本原因は、いわゆる「短期主義」にある。短期主義とは、3カ月単位の目標達成に注力しすぎることを指す。過去25年の間に多くの新興市場戦略が失敗に終わったのは、何よりこの「短期主義」が原因なのだ。
国際ビジネスをある程度深掘りするには費用がかかる。しかもその見返りはすぐには得られない。他社を出し抜く先行投資が重要なのだが、しばしばそれは四半期の収益に悪影響を及ぼす。それゆえ、短期の株価を押し上げるために手の届く範囲でしか国際ビジネスを行わないCEOがあまりにも多い。
彼らが投資を渋る言い訳で最近よく聞くのは、新興市場が成長の速度をゆるめている、というものだ。見返りが得られるかどうか怪しい状況で資金を投下するのはナンセンスだというのだ。しかし彼らは、新興市場のスローダウンが、根本的な問題ではないことを見落としている。その多くは一時的に下向きのサイクルに入っているだけなのだ。
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