英語による覇権は、希望か絶望か
ニューズウィーク日本版 / 2015年9月4日 16時30分
英語の覇権が取り沙汰されるとき、そこでは英語話者の優位がほとんど自明視されていると思われる。しかし別の言語が触媒となって言葉が豊かになった例が多いことを思えば、英語だけに染まることは何より英語にとって不利なのかもしれない。確かに現在は、英語が広がるにつれてむしろ様々な英語が各地で生まれ(インドの「インディッシュ」など)、その素朴さがかえって迫力を持ったり、そこから新たな表現が生まれたりする場合も多い。しかし、その覇権の強大さのあまり、実用一辺倒の「英語」だけが溢れる危険性は、意識しなければならない。そのためにできることは、それこそニュースピーク思考並みに単純な話かもしれないが、自戒を込めて書けば、やはりきちんと語学を勉強するということだろう。
『1984年』においてニュースピークへの移行完了は2050年が目処であった。現実の1984年は無事に過ぎたが、ニュースピークとの戦いは文字通り現在進行形なのだ。
※当記事は「アステイオン」ウェブサイトの提供記事です
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『アステイオン82』 特集「世界言語としての英語」 公益財団法人サントリー文化財団 アステイオン編集委員会 編 CCCメディアハウス
今井亮一(東京大学大学院人文社会系研究科、2014年度サントリー文化財団鳥井フェロー) ※アステイオンより提供
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