なぜ政権寄りのネットユーザーが増えているのか
ニューズウィーク日本版 / 2015年9月17日 16時14分
共青団のネットボランティアとは、今年2月に動員令が通達されたもの。全団員の20%との目安で大学や企業の支部に割り当てが決められたため、合計で1000万人以上のネットボランティアが不適切な書き込みがないかに目を光らせていることになる。もっとも、共青団団員のほとんどは「みんなが入っているから」「就職に有利になるかも」程度の軽い気持ちで入団しているので、どれほど真剣に活動しているかには疑問符がつくが、中には前述の大学生のように、愛国心からキーボード戦士となっている若者もいるわけだ。
さて、こうした反・反体制への"目覚め"は中国共産党の世論コントロールの成果なのだろうか。一概にそうとは言い切れないというのが私の見立てだ。反・反体制に"目覚めた"青年たちと話していて感じるのは、反体制のネット世論がきわめて強大で、デマや誹謗中傷を使ってまで国をおとしめていることに反発しているということである。
現実として実際に権力を掌握しているのは政府だが、ネット世論や言論界では政府批判が主流となっているため、若い世代から見ると反体制こそが主流派であり、権力を掌握しているかのように見えてしまう。中国のみならず他の国でも見られる状況だ。「自干五」の誕生も、中国政府のネット世論対策の成果というよりも、反体制的なネット世論が拡大した末の反発なのかもしれない。
[執筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)。
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)
この記事に関連するニュース
-
中国が緊急事態対応法を修正…人命のほかに政権が「守りたいもの」とは
RKB毎日放送 / 2024年7月23日 16時14分
-
「中国式現代化」の推進採択 3中総会、習氏の権威強化
共同通信 / 2024年7月18日 21時17分
-
中国共産党重要会議で習近平氏が活動報告 新華社が「3中総会」の開幕伝える
産経ニュース / 2024年7月15日 13時56分
-
7月「三中全会」の開催日時が決定。習近平政権が掲げる「中国式現代化」5つの特徴
トウシル / 2024年7月4日 7時30分
-
【日本人学校バス襲撃】経済政策からエロ話まで、規制だらけの中国で「反日」だけ違う理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月3日 11時20分
ランキング
-
1イスラエル軍、奇襲で殺害された5人の遺体収容 ガザ作戦
AFPBB News / 2024年7月25日 19時43分
-
2イスラエル、首相訪米中もガザ攻勢強める ラファ中心部に戦車
ロイター / 2024年7月26日 0時25分
-
3韓国、「佐渡島の金山」の世界遺産登録に反対しない方針…「日本が全体の歴史反映すると約束」
読売新聞 / 2024年7月26日 12時56分
-
4「世界で最も安全な旅行先」7位に韓国ソウル、1位に選ばれたのは?=韓国ネット「うらやましい」
Record China / 2024年7月26日 7時0分
-
5フランス高速鉄道、設備放火で運行に大幅乱れ 五輪開会式控え
ロイター / 2024年7月26日 18時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください