【写真特集】見たままのコンゴ、ありのままのアフリカ
ニューズウィーク日本版 / 2015年10月2日 12時43分
コンゴと聞いて、何を思い浮かべるだろう。そもそも「コンゴ」には、コンゴ民主共和国(旧ザイール)とコンゴ共和国とがあり、隣り合ったこの中央アフリカの2国を明確に区別できる非アフリカ人はそう多くないだろうし、どちらかというとコンゴ民主共和国(旧ザイール)のほうが――内戦やエボラ出血熱などネガティブな報道ばかりだが――ニュースで耳にする機会があるかもしれない。
そうでないほう――つまり西側に位置し、面積がより狭く、ブラザビルを首都とするコンゴ共和国のイメージとは、どんなものだろうか。
共に写真家集団マグナムに所属する著名な写真家であるパオロ・ペレグリンとアレックス・マヨーリが、タッグを組んでこの国を写真に収めた。それぞれの作風を組み合わせ、さらには実験的に抽象化とコラージュを採り入れ、出来上がったのが260ページの大判写真集『コンゴ(Congo)』だ。
淡々と切り取られた、日常の風景や人々の暮らし。個々の写真に説明は一切ない。眼前に付きつけられる写真は、何の偏りもなく、ペレグリンとマヨーリが見たままのコンゴだ。
高名な小説家であり詩人、ジャーナリスト、現在はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で文学を教えるアラン・マバンコウは、コンゴ出身だ。本書に文章を寄せた彼は、ペレグリンとマヨーリが「都市や村で人々と生活を共にし、喜びと悲しみを共有し、川を渡り、ゴミ箱を乗り越え......このプロジェクトの期間、完全にコンゴ人になっていたはずだ」と書く。
この『コンゴ』プロジェクトには原点があると、ペレグリンは説明する。2004年に彼とマヨーリは、トーマス・ドボルザック、イルカ・ウィモネンと一緒に「オフ・ブロードウェイ」と呼ばれるプロジェクトに携わった。彼ら4人がフォトジャーナリストとしてニュース雑誌向けに撮った過去の作品から、個々の写真説明と明確なストーリーテリングを省き、新しい物語へと編集し直したのだ。
その手法を今回も採用し、課題を事前に設定することなく、純粋でランダムな発見を求めて撮影に臨んだペレグリンとマヨーリ。「私たちはより自由に写真を追求することができた」と、ペレグリンは言う。
その結果、ドキュメンタリー写真という表現の可能性を指し示し、コンゴという国の調査研究ともなった。「都市のシーンから奥深い森林まで、今日の大半のアフリカ社会のありさまを映し出して」いるとマバンコウは評している。
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