パレスチナ絶望の20年
ニューズウィーク日本版 / 2015年11月4日 17時30分
96年に初めて首相となり、いったん下野した後、09年に首相に返り咲いたネタニヤフは、ヨルダン川西岸の93%を返還するという前任者エフド・オルメルトの提案を引っ込め、和平交渉を続けながらもユダヤ人入植地を次々に拡大していった。
パレスチナ側に対し、イスラエルを「ユダヤ人の国」として承認しろという要求も突き付けた。そんな要求に応じたら、イスラエルに住むアラブ系住民(人口の25%を占める)の居場所がなくなる。
今年3月の総選挙でネタニヤフは、2国家共存の原則を否定してアメリカの怒りを買ったが右派の有権者を引き付けて政権を維持した(後に発言撤回)。
ラビンの命日を前に、エルサレム在住の政治コンサルタント、ロバータ・ファーン・ショフマンは2国家共存支持派のシンクタンク「イスラエル政策フォーラム」のウェブサイトに寄稿し、こう述べている。「ラビンのような指導者が再び登場し、声高に政治的解決の必要性を訴えない限り......もっと多くのテロが起き、もっと多くの防御壁でパレスチナ人を隔離することになり、もっと多くのイスラエル人が銃を持ち歩くようになり、もっと多くの子供が犠牲者に、そして殉教者になるだろう」
[2015.11. 3号掲載]
ジョナサン・ブローダー(外交・安全保障担当)、 ジャック・ムーア
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