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コーヒー、アルコール、喫煙、肥満......脳によくないのはどれ?

ニューズウィーク日本版 / 2015年11月12日 16時45分

◇ ◇ ◇

飲み物は脳にどう影響するか?――コーヒーとアルコール

 脳の健康について関心が高まるにつれ、2種類の飲料が繰り返し研究されるようになっている。コーヒーとアルコールである。

 カフェインはキサンチンと呼ばれる化学基に属していて、ニューロンの働きを短期間スピードアップさせる働きがある。このニューロンの活性化がアドレナリンホルモンの分泌につながり、私たちの身体にいくつかの影響を及ぼす。心拍数が増え、血圧が上がり、気管が開き、脳のエネルギーになるグルコースが追加的に血中に放出されるのだ。そのため、適度な量(日に数杯)のカフェインを摂取することは注意力をよくすることにつながる。

 コーヒーを定期的に飲むことは、持続的で生涯にわたる利益になるのか、害になるのか? その答えには、良いニュースと悪いニュースが混在している。良いニュースは、長期研究による結果のほとんどが、否定的な内容よりも肯定的な内容を示していることだ。明白な害も起こっていない。悪いニュースは、一般的な脳機能に実際に有効かどうかの研究結果が、短期的効果においても、加齢に伴う認知力低下や認知症になるのを遅らせる長期的効果においても、一定ではないことだ。

 脳に作用する別の分子はアルコールである。アルコールの過剰摂取が脳にダメージを与えることはよく知られている。ほどほどの摂取による影響はやや不透明だ。最近の国立衛生研究所のメタ分析は、軽くたしなむ、あるいは、ほどほどの飲酒であれば、おそらく認知力低下のリスクを減らすだろうと報告している。しかし、結果はやはり一貫したものではない。研究方法にも相違が見られる。たとえば、「軽くたしなむ」「ほどほどに飲酒する」の定義が、最低で週1〜2杯、最高で週に13~28杯であり、研究によってひどくばらついている。この不一致に関する明解な説明もなされていない。

 アルコール摂取によるアルツハイマー病への影響はもう少しはっきりしている。国立衛生研究所の同じメタ分析は、飲まない人と比べて、軽くたしなむ、あるいは、ほどほどに楽しむ程度の飲酒であれば、男女ともアルツハイマー病になるリスクが低くなると結論づけている。ただ、ほとんどの研究が、晩年におけるアルコール摂取を扱っているので、晩年になってからのアルコール摂取が認知症のリスクに影響したのか、大人になって以降の継続的な飲酒が影響したのかはわかっていない。

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