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だから、もう「お金」は必要ない

ニューズウィーク日本版 / 2015年11月26日 16時8分

 自分が住んでいる家をAirbnbで貸し出している人の初期投資額はゼロだし、ウーバーに登録して自分の車をタクシー代わりにした人も、やはり余分なお金はかけていない。多くの人が追加資金なしで新しいビジネスを始められるのだ。先ほどの例で考えれば、初期投資額ゼロでレストランを開業したようなものである。これは2つの意味でちょっとした革命である。

 ひとつは、資金調達というもっとも面倒な仕事に煩わされずにすむため、起業の効率が格段に向上することである。その結果、副業のハードルが一気に下がることになるだろう。

 ゼロから事業を立ち上げる起業家にとって、資金調達ほど面倒な仕事はない。お金を出すほうは、そうそう簡単にはイエスとは言わない。自分のプランを必死に説明し、何度も何度もぶしつけな質問をされながらもそれに対応し、交渉に交渉を重ねて投資家から出資を取り付ける。筆者自身、起業の経験があるので、資金調達の大変さは実感としてよくわかる。

 銀行からの融資は、そこまでのプランは求められないものの、今度は担保などを要求されてしまう。お金がないから融資を依頼しているのに、事実上、お金を工面するように求められてしまうのだ。

 外部から資金調達を行う起業家の場合、ビジネスの立ち上げ時には、時間と労力の8割をお金の問題につぎ込んでいるはずである。この部分を本業に回すことができれば、どれだけスムーズに事業を立ち上げることができるだろうか。

 新しい資本の時代には、お金をかけず、自分の身ひとつで事業をスタートできる。ダメでも、また別な形でチャレンジすればよいので、成功の確率も上がってくるはずだ。すべての時間を事業に費やせない副業の起業家にとっては最高の環境といってよいだろう。

 もうひとつの革命は、経済全体として資本の役割が低下することである。

 先ほどは、マクロ経済の中で、資本というものがどれだけ大きな役割を果たしているのかについて解説した。大きな初期投資を必要としないビジネスが増えてくれば、社会全体として必要な投資額は減ってくることになる。新しいネット時代においては、資本もしくは資本家の役割は相対的に低下するかもしれない。

 そうなってくると、経済全体としてのお金の動きが大きく変わってくる可能性があるのだ。

市場はすでに、この状況を織り込み始めている

 今、グローバル経済の分野では、慢性的な低金利にどう対処したらよいのか、様々な議論が行われている。

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