それでも中国はノーベル賞受賞を喜ばない
ニューズウィーク日本版 / 2015年12月4日 11時5分
さすがに「中国人の魂」と尊称される文学者である。そして今でも彼の予言は生きているようだ。
2010年にノーベル平和賞を受賞した劉暁波は、いまだに中国の獄中にある。今年、医学生理学賞を受賞する屠女史は、海外での称賛とは対照的に中国では批判と疑問の声に取り巻かれている。いまだ中国では政治性に重きが置かれ、ねたみ嫉みの大合唱なのだ。人類への貢献や創造的で革新的な考案や進歩とは、まるで無縁の世界のようである。
自国のノーベル賞受賞者に対して、日本のように国民全体が喜び、祝福する日が、いつか中国にもやってくるのだろうか。
ストックホルムにて
[執筆者]
譚璐美(タン・ロミ)
作家、慶應義塾大学文学部訪問教授。東京生まれ、慶應義塾大学卒業、ニューヨーク在住。日中近代史を主なテーマに、国際政治、経済、文化など幅広く執筆。著書に『中国共産党を作った13人』、『日中百年の群像 革命いまだ成らず』(ともに新潮社)、『中国共産党 葬られた歴史』(文春新書)、『江青に妬まれた女――ファーストレディ王光美の人生』(NHK出版)、『ザッツ・ア・グッド・クエッション!――日米中、笑う経済最前線』(日本経済新聞社)、その他多数。
譚璐美(作家、慶應義塾大学文学部訪問教授)
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